JリーグPRESSBACK NUMBER
1週間で3人が海外移籍した鹿島。
内田篤人「それでもタイトルを狙う」
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byGetty Images
posted2019/07/16 17:30
内田篤人もシャルケで飛躍したフットボーラーである。だからこそ若き選手たちの決断を尊重している。
CLはノイアーとラウールのおかげ。
8年ぶりに鹿島へ復帰した内田は、海外志向の強い選手たちに何度となく「行った人にしかわからない」と話し、自身の経験を伝えている。安西も「CLのベスト4を経験した篤人くんと同じ風景を見たい」と移籍発表時の取材で語っていた。
「CLベスト4なんて、ノイアーとラウール(・ゴンサレス)に連れて行ったもらっただけだから。俺なんて、端っこで走っていただけ、(ジェフェルソン・)ファルファンと一緒にね(笑)。だけど、『お前が周囲に、まだまだだよと言わなくちゃいけない。お前しか知らないんだから』って言ってくれる人がいて、そういうのも大事なのかなと思うようにもなった。
この選手はこういうところが足りないんじゃないかなとか、海外へ行けばこういうところを頑張らなくちゃいけないとか、こんな試練が来るだろうとか、なんとなくイメージもできる。だけど、本人には教えない。俺が言ったところでさ。やっぱり行かなきゃわからないから」
「鹿島はほかのクラブとは……」
それにしても、このタイミングで3人も選手が移籍してしまう現状を、今季キャプテンを務める内田はどう感じているのだろうか?
「周囲から見れば、いっぱい移籍させてしまって、大変じゃないかと思われると思う。監督やジーコも話していたけれど、移籍させないでタイトルを狙うことも大事かもしれない。でも、成長した選手が海外へと気持ちが向いていくのは自然なことだから。育てた選手を手助けして送り出しても、それでも鹿島はタイトルを獲り続ける。それはほかのクラブにはできないことなんじゃないかって。俺もそう思う。
確かに今は怪我人も多いし、スタメンの選手がいなくなるのは、痛い。それを踏まえたうえで、アントラーズというクラブがどこを見ているのかと言ったら、(選手を)出しながらもタイトルを獲るということ。それは難しいことだけど、アントラーズはほかのクラブとは違うから。
もし、今海外に出ている選手が全員鹿島に残っていたら、A代表と同じくらいのクオリティがあるんだけど、彼らを出しながらもタイトルを獲り続けるのが鹿島。だからこそ、移籍する選手には頑張ってほしい。たぶん、今回の移籍で満足している選手はいないと思う。やっぱりここから次、その次だから。タイミングと運に恵まれたら、大きなクラブへ行けるかもしれないし、『おおっ』っていうチームで活躍してほしいね。
あと、シャルケに誰か日本人選手が行ってほしいんだよね。そしたら、俺も見に行きたいなぁ。自分の場合は海外へ行って、本当にいい経験をさせてもらって、いい仲間にも恵まれた。だから今回出ていく選手にも、そういう仲間に恵まれて、サッカーのど真ん中、本場で、充実したサッカー生活を送ってほしい」