才色健美な挑戦者たちBACK NUMBER
上田桃子/渡邉彩香/三浦桃香
ツアー後半戦に向けての強い決意。
text by
林田順子Junko Hayashida
photograph byTakuya Sugiyama
posted2019/07/17 11:00
上田桃子「今年のテーマは心技体」
今季すでに2勝を挙げる活躍を見せている上田桃子。資生堂 アネッサ レディスオープンでは苦しんだものの、今季は1度も予選落ちせず、安定したプレーを見せている。その根幹となっているのが「メンタルの変化」だという。
「今までは技術も体もこれじゃあ足りない、もっと向上したい、これが必要だとできない部分にばかり目を向けることが多かったんです。もともと自分の性格も好きじゃなかったし、我慢強くなれたら、もっとニコニコできたら、もっとスマートに生きられたら楽なのに、と思っていました。それが今は弱くてもいい、自分の人生だし、自分のしたいことをやればいいと思えるようになりました。
以前は我慢ってストレスでしかなかったのですが、我慢できるようになったらこんなことができるようになるんじゃないかとか、できた自分をイメージしたときに喜びや楽しみがすごくあって、今までネガティブに捉えていたことが、ポジティブに捉えられるようになった。
結局、強い気持ちでいないといけない、ひとつ許してしまったら全部がなあなあになってしまうんじゃないかという怖さがあったんです。でもこの1年、自分を許すことで、色々なものがより見えるようになった。新しい発見も多くなったし、以前の自分よりも好きだなと思っています」
「捨てる」ことで自分をコントロール。
「なかでも大きな転機になったのが、3月の『Tポイント×ENEOS ゴルフトーナメント』です。
最終日前日の夜に指が曲がらないほど手が痛くなってしまって、棄権も考えていました。ただ、中指を外していれば打てたので、そこから捨てる作業に入ったんです。距離は捨てよう、方向性は捨てよう、スコアも捨てよう。残ったものから何にフォーカスするかと考えたときに、お腹に力を入れて、抜けないように気をつけながら、今あることに集中するということだけを心がけていた。大事なパットが決まっても、ここで欲をかいてはいけない、自分が思っている以上に頑張れているのだから、と自分をコントロールしてすごく集中していたんです。
そんな状況で優勝できたことで、ないものを求めるのではなくて、できないものはできないと受け入れて、もっと自分が持っているものにフォーカスしてもいいんじゃないかと思えたんです。
だから今年のテーマは心技体。そこをどれだけバランスよく磨けるか。
今まではメンタルが弱いというのは下手くそだからだと思っていたし、メンタルが大事だと思いながらも根底では逃げている自分がいた。でも色々なことを受け入れた今はすごく楽しいんです。心が体を動かすし、体が動けば技術が上がっていく。そういうすごくいい循環でゴルフができているので、これからも自分らしく進んでいきたいと思っています」
資生堂 アネッサ レディスオープン
SHISEIDO ANESSA LADIES OPEN
「スポーツを通じて“美”を提供したい」という思いを込めて今年から新設されたLPGAツアートーナメント。「強く、美しく、輝くとき。」を大会コンセプトに掲げ、神奈川県横浜市の戸塚カントリー倶楽部 西コースにて7月4日~7日にかけて開催された。プレーオフにもつれる激闘の末、渋野日向子選手が初代女王に輝いた。
新しいナビゲーターに俳優の田辺誠一さんを迎え、番組デザインもリニューアル。アスリートの「美学」を10の質問で紐解き、そこから浮かび上がる“人生のヒント”と皆さんの「あした」をつなぎます。スポーツ総合誌「Number」も企画協力。
第64回:上田桃子/渡邉彩香/三浦桃香(ゴルフ)
7月19日(金) 22:00~22:24
今年から新設されたLPGAツアートーナメント『資生堂 アネッサ レディスオープン』。「才色健美」にも登場した3選手はこの大会をどう戦ったのか。番組出演時のインタビュー映像と密着取材を基に大会を振り返ります。
第65回:マンスリースペシャル
7月26日(金) 22:00~22:24
第62回と第63回に登場したスキージャンプの高梨沙羅選手、元フィギュアスケート選手の織田信成さん。第65回は未公開シーンを含む2人の総集編をお届けします。