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先発として成長中、西武本田圭佑が
感嘆したヤクルト石川の投球術。
posted2019/07/11 07:30
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
Kyodo News
先発を任された直近の2試合において、合計13回と3分の1イニングスを無失点で抑えている本田圭佑。4勝目を挙げた7月6日の千葉ロッテ戦を終えたあと、「勝ててほっとしています」と安堵の笑顔を見せた。
この日は8回途中まで無失点の好投を見せ、プロ初完投、初完封も期待されたが「意識しないで、1人ひとりという気持ちでした」と謙虚に語る。投手事情が苦しく、なかなか先発ローテーションを固定できないライオンズにとって、後半戦に向け明るい材料となる好投だった。
今シーズンは幾度もローテーションの再編を繰り返してきた。そんな中、開幕前には名前が挙がっていなかった本田に、先発のチャンスが巡ってきた。
「取り組んできた課題はインコース、特に右バッターのインコースへのコントロールでした。そこにしっかりと投げ切れていなかった。加えてランナーを背負ってから、ここぞという場面でインコースに投げ切れないという課題がはっきりしていました。5月に一度、二軍に行ったときは、その辺りを意識してファームの試合に臨みました」
「当ててもいい」とラクな気持ちで。
インコースへ投げるときに意識したのが、気持ちの作り方だと語る。
「本当に紙一重で……。少しでも『当てちゃいけない』と考えると甘いコースに行ってしまいます。『当ててもいい』というラクな気持ちで投げると意外ときれいに投げたい場所に行く。もちろん技術がいちばん大事なんですけど、そのほんのちょっとの気の持ちようで、投げるボールが変わってくると学びました。インコースはいちばん気持ちが影響するボールなんです」
練習で投げ切れないボールは、試合でも投げ切ることはできないと痛感した。
「まずは投げ切る感覚を練習でどう養うか。どう投げたらそこにきちんと投げられるか、その感覚を磨くことが大事だと思って練習してきました」