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先発として成長中、西武本田圭佑が
感嘆したヤクルト石川の投球術。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byKyodo News
posted2019/07/11 07:30
7月6日のロッテ戦では、自己最長タイの7回と1/3を投げ、今季4勝目を挙げた。
名前ばかりに注目が集まって……。
プロ入り4年目。1年目から即戦力と期待されたが、なかなか結果を残すことができなかった。サッカー日本代表選手と同姓同名の、本田圭佑という名前ばかりに注目が集まった。
「あれほどはっきりとものを言える本田さんがうらやましいです」
入団当初、ぽつりともらした一言は、ライオンズの本田が慎重な性格であることを表していた。なかなか芽の出ない3年目の昨年、「気分転換に」とひげを伸ばし始めた。金髪や長髪は考えなかったのかと尋ねると「ひげが精いっぱい」と首を横に振って苦笑した。慎重で物静かな男が「何かを変えたい」という思いから起こした小さな革命だった。
「心技体とよく言いますけど、どれも大事で、しかもバランスが大切だと思い知りました。技術が劣っていたら、どれだけ強い気持ちがあっても投げられないし、ケガをして体に不安があれば、心にも影響が出る。どれか1つではなく、どれも大事。バランスが整っていないと力が出せないと思いました」
打順ふた周り目以降の被打率が課題。
4年目の今シーズン、3年間で鍛えた心技体が、本田が語るように徐々にバランスを取り始めているのではないか。
「プロ入りしてからの3年間に比べたら、今シーズンはいろいろとそういうことがわかってきています。これまでの3年間に比べたら……という範囲ですが、できているという感覚はありますけど、ここまで先発をさせてもらって、まだまだ、ここからもう一段階、レベルアップしなければいけない。ひとつ壁を乗り越えたら、またひとつ壁が現れるという感じですね」
0点で抑えた6月29日の試合で登板する前までは、相手打順のふた周り目以降の被打率が高くなるという課題があった。
「僕は特別、すごいボールがあるわけではないので、1打席、ボールを見たら対応されやすいのかもしれません。同時に自分もまだ、いっぱいいっぱいで余裕がない。1巡目、抑えるだけで精いっぱいで。立ち上がりに気を付けて照準を合わせてきて、1巡目をいい感じで抑えられて、2巡目で粘れずにスタミナ切れをしている感覚はあります」