プロ野球PRESSBACK NUMBER
先発として成長中、西武本田圭佑が
感嘆したヤクルト石川の投球術。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byKyodo News
posted2019/07/11 07:30
7月6日のロッテ戦では、自己最長タイの7回と1/3を投げ、今季4勝目を挙げた。
「1個1個アウトを取ることで精いっぱい」
好投手は「ギアの切り替えがうまい」と今年、巨人に移籍した炭谷銀仁朗がよく語っていた。のらりくらりと下位打線を抑えたかと思うと、クリーンアップを迎えたところでトップギアに入る。そうやってペース配分ができる投手に好投手が多いと常々語っていた。
その言葉を思い返すと、本田はまだ目の前の打者に100%の力で挑んでいる段階なのだろう。
「もちろん3、4番に入れる力と下位打線では多少違うかもしれませんが、抜いているという感覚は一切なくて、1個1個アウトを取ることで精いっぱいだし、1球1球、キャッチャーが構えたところに投げることで精いっぱい。そうやって集中力を持続して投げることが大事だと今は思うので……。そうやって集中して投げている分、後半の疲れにつながっているのかもしれません」
相手ピッチャーも良いお手本に。
そんな本田にとって、現在は対戦する相手ピッチャーも良いお手本となっている。
「今まではずっと岸さん(孝之・東北楽天)を目標にしていて、岸さんの動画ばかり見てきたんですけど、最近は右投げ、左投げ関係なく、自分に必要な技術を持っている投手がいて、参考になるピッチングもあるんじゃないかと思うようになりました。
西武なら榎田(大樹)さん。あと、交流戦で投げ合ったヤクルトの石川(雅規)さん。辻監督からは中日の吉見(一起)さんの投球を参考にするように言われます。皆さん、140kmくらいのストレートをきっちりコーナーに投げ切って、変化球を低めに集めて勝負する投手。そういう人の投球をしっかり見て、どんなことを意識して投げているのか想像しています」
中でも間近で見たヤクルトの石川のピッチングには感嘆した。
「石川さんは打者によってプレートを踏む位置も変えるんです。通常は難しいこと。自分は『まずはコントロールよく』と考えて、試合中に何かを変えるのにはまだ不安がありました。でも石川さんのピッチングを見て、もっと臨機応変に、打者ではなくてバッテリー側がそうやってプレートや、間合い、フォームを変えることを武器にしてもいいんじゃないかと思うようになりました。それがいずれ『投球術』というものに変わっていくんだろうなと思っています」