“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
選手権得点王・染野唯月が鹿島へ。
常勝軍団を作るスカウトの柔軟な目。
posted2019/07/04 17:30
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
「本当に悩みました。ギリギリまで迷いましたし、これまで進路に関しては全部自分で決めてきたので、今回もそうしようと思ったのですが……やはり決めきれなくて、いろんな人に相談をしました」
染野唯月は悩み抜いた結果、鹿島アントラーズ入りを決断した。
昨年度の高校サッカー選手権で尚志高校をベスト4に導き、準決勝の青森山田高校戦では圧巻のハットトリックを達成し、大会得点王に輝いた高校生ストライカーだ。
染野を巡る争奪戦は激しいものだった。J1の名だたるクラブがこぞってラブコールを送る中、染野は鹿島、浦和レッズ、FC東京に絞り、3チームすべての練習に参加した。
「この3つのクラブが自分を評価してくれたことは本当に嬉しいことですし、感謝しています。どれも素晴らしいチームで、環境も整っていたからこそ、決めるのは簡単ではなかった」
鹿島での競争に勝てばA代表も見える。
7月2日、尚志高校で入団内定会見が行われた。
尚志の仲村浩二監督、鹿島の椎本邦一スカウト担当部長に挟まれた彼は、すっきりした表情で会見に臨んでいた。1時間に渡る会見が終わった後、筆者と染野は膝を突き合わせて話をすることができた。彼はその胸の内を語ってくれた。
「2月下旬に鹿島の練習に参加して、5月のインターハイ予選前に浦和、FC東京と練習に参加させてもらいました。そこからいろいろ考えたのですが、アントラーズでスタメンを掴めるようになれば、A代表も自ずと近づいてくると思いましたし、あの厳しい競争の中で打ち勝てれば、自分の自信にも繋がると思った。それが最終的な決め手になりました」