猛牛のささやきBACK NUMBER
怪我で二桁、新人王を逃した左腕。
ドラ1田嶋大樹「野球、楽しいな」
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKyodo News
posted2019/06/27 11:15
プロ2年目の今季は気持ちや表情だけでなく、投球フォームからも、いい意味で力が抜けたように見える。
理想は力感なく、それでいて強いストレート。
今年は気持ちや表情だけでなく、投球フォームからも、力が抜けたように見える。
昨年は躍動感あふれるフォームだったが、田嶋自身に言わせると「上半身だけを使って、腕をぶん回してるだけだった」。
肘を痛めたこともあり、リハビリ中は下半身を鍛え直し、上半身と下半身の連動を意識してきた。
「なるべく力感なく、それでいて強いストレートを投げることが理想。その理想に、ちょっと近づいているのは間違いないですね」
ここまで3度の登板のうち、田嶋に勝ち星がついたのは一度だけだったが、待ちわびた左腕が交流戦から復活したことが、チームに勢いをもたらしたことは間違いない。
交流戦は2位、巻き返しを図る後半戦。
オリックスは交流戦を11勝6敗1分の2位で終えた。どれだけ勝ってもパ・リーグ内の順位が変わらないのはいつものことだが、交流戦前に11あった借金が6に減ったのは大きい。
交流戦中は先発投手陣の安定感が光った。先発が序盤に崩れて試合を壊すということはまずなく、6月9日の試合でK-鈴木が4回で交代となった以外は、全試合で先発が5回以上を投げ、きっちりと試合を作った。しかも交流戦で先発した8人はいずれもオリックスに加入して3年以内の戦力である。
先発に勝ちがついたのは11勝のうち5回だけというのが、今季のチーム状況を物語っているが、そのうち3人が今季初勝利だった。1人は田嶋、もう1人は昨年オフに阪神にFA移籍した西勇輝の人的補償で加入した竹安大知、そしてプロ初勝利を挙げたルーキーの荒西祐大だ。
不振だった打線も、中川圭太がルーキーとしては史上初の交流戦首位打者に輝き、打線の鍵を握る吉田正尚や福田周平も調子を上げてきている。28日からの後半戦は、最下位からの巻き返しに期待がかかる。