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高3FW西川潤、久保建英の背中を追う。
「僕には悔しさをぶつける場所がある」 

text by

安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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photograph byTakahito Ando

posted2019/06/27 10:30

高3FW西川潤、久保建英の背中を追う。「僕には悔しさをぶつける場所がある」<Number Web> photograph by Takahito Ando

2年連続のインターハイ出場を決めた桐光学園高校3年・西川潤(10番)。プロ、U-17W杯、高校と忙しいシーズンになりそうだ。

バルセロナBの獲得リストに?

 西川は苦しみながらも、着実に気持ちは前に向いている。そして強くなっている。

 裏を返せば、彼がそういう精神性があるからこそ、さまざまなカテゴリーでプレーする環境を与えられている。それだけ期待も大きいと言える。

「どの環境でもメンタル的に崩れないようにやる。自分の良さを出して、ぶれずにプレーする。この気持ちを持ってやり続ければ、間違いなくタフさは身につくし、それで得た自信や経験は来年のセレッソやその先に絶対に生きて来ると思う。今も正直苦しいけど、その先には必ず成長した自分があると信じています。だからこそ、崩れない、崩さないで、どんなことがあっても前向きに捉えてやっていきたいと思います」

 6月24日には、コパ・アメリカに参加している前田大然と安部裕葵の2人とともに、バルセロナBの獲得リストに挙げていることが報道され、西川の注目度はさらに上がった。

 これによって葛藤が生まれるだろう。より崩れない、崩さないメンタリティーが必要になってくる。

「僕には悔しさをぶつけられる場所がある」

「インターハイ、U-17W杯、高校選手権、そしてセレッソと、僕にはU-20W杯で味わった悔しさをぶつけられる場所がたくさんある。注目されるのは分かっているけど、僕は決してナンバーワンではない。僕の前には同学年の久保建英がいるし、韓国の完敗したイ・カンインもいる。他にも自分より上が沢山いるのに、高3でこの経験が出来ていることを、後に振り返ったときに、『良かった』と思えるようにしないといけないと思っています」

 最後に西川は決意を固めたかのように、キリッとした表情で前を向いてこう語ると、別れ際に一礼をして去っていった。

 外の雨はなかなか降り止まない。

 スタジアムの脇の閑散としたスペースで、真摯にかつ正直に想いを口にする西川潤の姿をこの目に焼き付けておこうと思った。葛藤と希望を抱えた“日本一忙しい高校生”のありのままの姿を――。

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