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ケガ人続出ホークスに大魔神現る。
196cm、椎野新のスケールがデカい。
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKyodo News
posted2019/06/19 15:00
今後の成長が期待される椎野新(左)。デスパイネを見下ろす感じになるくらい、デカい。
森のライバルは2年目の椎野だ。
ところで、今回の当連載コラムでは、森離脱が発覚するより前から「次代の守護神候補」をテーマにしようと考えていた。
森はまだ27歳と若いが、疲労の蓄積が気になっていたのは確かだ。
また、ホークスにはもともとデニス・サファテという絶対的守護神が存在する。サファテは森を弟のように可愛がり、一方で森も兄のように慕いながら互いが刺激し合い、高め合うという良好な関係を築いていた。
未来のホークスのことを考えれば、森にとっての“好敵手”の台頭も欠かせないのだ。
次代の守護神――イチオシしたいのはモイネロでも武田でもない。
2年目の椎野新(しいの・あらた)だ。
ルーキー時代は高卒のような扱い。
第一印象は、とにかくデカい。身長は196cm。球界日本人投手では藤浪晋太郎(タイガース・197cm)に次ぐ大きさだ。
いや、ちょっと待ったという声が飛んできそうだ。
守護神候補ならば、ドラフト1位ルーキーで現在もリリーフで健闘している甲斐野央がいる。最速159キロを誇り、即戦力の名に恥じない活躍を見せている。
それは重々承知の上だ。ただ、即戦力らしい完成度の高さを持ち合わせている甲斐野とは対照的に、椎野は急成長を遂げている。
椎野も大卒(国士舘大)でプロ入りしてきたのだが、1年目のキャンプなどはまるで高校生ルーキーのような扱いをされてきた。
同期の高橋礼がブルペンでどんどんアピールし、独立リーグから入団した育成枠投手が紅白戦にも呼ばれた中で、椎野は2週間以上もブルペン“お預け”を食らい、ひたすら基礎体力作りのメニューを課せられていた。
あの頃の投球を見れば納得だった。これだけ恵まれた体格をもっていれば150キロ台も容易くマークできそうなのに、まるで届かない。大学時代の最速は148キロ。もちろん平均球速は大きく下がる。