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ドラ1候補・森下暢仁は中日へ?
明大主将右腕と竜にある運命の糸。
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph byKyodo News
posted2019/06/19 11:30
大学選手権で優勝を飾り、最高殊勲選手と最優秀投手に輝いた主将の森下は仲間たちから胴上げされる。今秋ドラフトの目玉だ。
新入生・森下の面倒を見た4年生・柳。
「僕(柳)がキャプテンになったときに投手では憲伸さん以来だよと教えられましたし、森下が僕以来ということもわかっています。4年生のときに1年生だったのが森下なんですが、寮でも同部屋でした。でも、初めて会ったのは実は入学より前のことなんですよ。
森下は高校時代から有名でしたが、直接のプロ入りも考えていたみたいで。でも明治としてもどうしてもほしい。そこで(善波)監督に言われまして。(1学年上の)キャプテンだった坂本(誠志郎、現阪神)さんと僕と3人で、大分まで行ったんですよ。いっしょにやろうよって」
寮での面倒を見たばかりか、そもそもスカウティングしたのも自分だと言う。柳は宮崎県出身。隣県出身の森下のよき見本たらんと努めた。明大の野球部には「御大」島岡吉郎監督時代からの伝統がある。明大野球部出身の球界関係者がこう話す。
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「雑用は4年生が担当するんです。その中でもトイレ掃除は歴代キャプテンがやります。素手で掃除するんです。星野さんもそうだったと聞いていますし、島岡御大ご自身も素手で磨き上げたと伝わっています。人のやりたがらないことを率先してやる。そして4年生がしっかりやれば、下級生もトイレを汚さない。
さらにいえば、4年生といえども翌年は社会人1年生。実社会に出て、困らないためにそうなったと教えられました」
星野も高橋も川上も柳もトイレを磨き、心を磨いた
今季好調の柳、目標は2ケタ勝利。
その柳は入団3年目の今季、才能を花開かせている。7勝2敗、防御率3.29(6月18日現在)。今永昇太(DeNA)、菅野智之(巨人)らと渡り合い、ハーラーダービーのトップを走っている。
「(故障に苦しんだ)1、2年目の情けなさが自分の中で結構、強く残っています。トレーニングといえば体を大きくすることだと思っていましたけど、体幹を鍛えることの大切さを知りました。今は曜日ごとに組んでもらったメニューをしっかりやっていますし、肩のコンディションもすごくいい。これだけやっているぞという裏付けが、自分自身の支えにもなっているんです」
当面の目標は10勝到達であり、オールスターへの初出場だ。