JリーグPRESSBACK NUMBER
予算増額、観客数も昨季超え。
J2山形が夢見る昇格と新スタ建設。
text by
川端康生Yasuo Kawabata
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/06/18 07:30
J2リーグ第18節水戸戦で、途中出場から流れを変えた山形FWジェフェルソン・バイアーノ(9番)。阪野豊史(11番)のゴールを呼び込んだ。
流れを変えた山形・バイアーノ投入。
戦況が変わり始めたのは後半に入ってからだ。
60分、山形はシャドーの位置にいた大槻周平に代わってジェフェルソン・バイアーノを投入。バイアーノがトップに入り、その下を阪野が動くポジションに変更した(試合後の会見では「2トップ」と言っていた)。
そして、そのバイアーノが相手のビルドアップに猛然とプレッシャーをかけ始める。その迫力に水戸のボールの流れがわずかに淀んだように見えた。水戸の堅守は攻撃と一体だから、結果的にプレスにも緩みが生じることになった。
先制ゴールが生まれたのはその直後だ。
雨で滑るボールをミートした阪野。
66分、中盤から右サイドの柳貴博にパスが渡る。パスの出し手も、受け手もフリーだった。水戸の選手が攻め残っていたというわけではない。自陣にそれなりの人数(7人か8人)はいた。しかし、人をつかまえれず、スペースも埋められていなかった。
フリーの柳が、遅れて寄せてきたDFの目前で、ペナルティアーク付近を目がけて渾身のクロスを入れる。低く強いライナー性の弾道。前半からアグレッシブなプレーで山形の起爆剤になっていた柳は、このシーンでも躊躇がなかった。
ゴール前ではバイアーノがボールサイド(ニア)へ走っていた。これを水戸のDFが潰しにかかる。しかし、柳のボールはその背後にいた阪野の足元へと向かっていた。守備の枚数は足りていたが、阪野との間合いは少し空いていた。
それでもピッチは雨でスリッピーだった。ボールに合わせるのは容易ではなかったはずだ。それでも阪野は見事にミートした。
柳の強いパスと芝の上を滑るボールの勢いそのままに、シュートはゴール右隅に飛び込んでいった。
まさしく値千金の先制ゴールだった。繰り返すが、堅守を誇るチーム同士の対戦。先制ゴールが決勝ゴールになった。