水沼貴史のNice Middle!BACK NUMBER
久保建英のキックに水沼貴史が注目。
メッシ、ロナウドと同じ素質とは?
posted2019/06/14 12:00
text by
水沼貴史Takashi Mizunuma
photograph by
Getty Images
今回はコパ・アメリカを控えたタイミングなので、日本代表のお話を。
まず、先日のキリンチャレンジカップ。なんといっても一番大きな出来事は3バックのテストでしょう。以前から森保一監督の中で、いろいろなオプションや引き出しを持っておきたいというテーマがあったと思いますが、それが今回実現したと見ています。
自分が思い描くプランを試すタイミングを窺っていたんでしょう。欧州でプレーする選手たちにとっては、オフに入る前に、W杯予選に向けていい刺激になったと感じています。
A代表デビュー戦ということですっかり話題の中心となっている久保建英は何の違和感もなく試合に入れていましたね。“18歳、18歳”と騒がれる中で存在感をしっかり出したことは、純粋に評価していいと思います。
健太(FC東京の長谷川監督)とも話す機会があったんですが、今年はレンタル先のマリノスから戻り、どう成長したかという期待と疑心暗鬼が入り混ざったシーズンインのなかで、頭のキャンプからトップチームに帯同、トレーニングマッチでは遜色なくプレーができていた、と。自分の力でポジションを獲得し、Jリーグで活躍した。
それで代表に入ったわけですから、エルサルバドル戦で見せたプレーは当然だったと言えるでしょうね。
「強い球を蹴れる」のが好き!
昨年のプレーと比べて明らかに違いを感じるのは、体の強さ。体幹が強くなったことで、多少体をぶつけられても顔を上げてプレーできている。全体に余裕が生まれています。
エルサルバドル戦でも、倒れそうになりながら相手の股を抜いた場面がありましたよね? 体幹のトレーニングを積んでいると耳にしましたが、そういった成果もしっかりと表れたシーンでした。
また、代表戦を見て改めて感心したのは、彼は決して“無理をしない”んですよね。ここは仕掛けるとき、ここはボールをはたくとき、ここは預けるとき、と瞬時に選択できる。そういったところも余裕が出てきたと感じました。
ただ、僕が久保のプレーで何よりも好きな部分は、パスにおいても、シュートにおいても「強い球を蹴る」ところ。
エルサルバドル戦で、投入後すぐにシュートを打ったシーンがありましたよね。“しっかりコースを狙え”という声もありますが、最初のプレーで「強いシュートがある」ことを相手に印象づけることはとても重要。次のプレーにも幅が出てきます。