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目立たず不器用だった馬なのに、
米3冠で5着のマスターフェンサー。
posted2019/06/11 11:15
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph by
Satoshi Hiramatsu
現地時間6月8日午後6時40分前後、日本時間9日午前7時40分前後、予定より気持ち遅れてベルモントS(GI、アメリカ・ニューヨーク、ベルモントパーク競馬場、ダート2400m)のゲートが開いた。
最内枠から先頭を奪ったダークホースのジョービアに対し、スタートこそ五分に出たものの、すぐに後方に控える形になったのは、日本からの挑戦者マスターフェンサー(牡3歳、栗東・角田晃一厩舎)だ。
「後ろからになったけど、流れが遅かった分、馬群にはとりつくことができました」
そう語ったのは同馬の手綱をとったJ・ルパルー騎手。道中は最後方まで下がるシーンもあったが、ケンタッキーダービーの時とは違い、先頭との差が大きく開くことはなかった。
「ケンタッキーダービーは急きょ決まった遠征だったので、状態面に関しては今回の方が明らかに良いですよ」
そう言ったのは角田晃一調教師だ。
目立つ馬ではなかったけれど。
日本国内でケンタッキーダービーの出走権を争うポイントでは4位に甘んじた。伏竜Sで勝ってポイントでトップになれば、アメリカ挑戦を視野に入れていたが結果は2着。遠征プランは水泡に帰したかと思われた。しかし、ポイント上位の3頭が次々と回避を表明。急遽、手を挙げれば行ける態勢となった。
「行けると聞き、2つ返事で承諾しました」
そう語るのはオーナーの吉澤克己氏だ。
自身も全国3カ所に育成牧場を持ち、現在540頭に及ぶ現役馬を管理しているが、そんな中で、マスターフェンサーは決して目立つ馬ではなかったと続ける。
「当歳の時から見ているけど、可もなく不可もなくという感じで目立つ馬ではありませんでした」