競馬PRESSBACK NUMBER
目立たず不器用だった馬なのに、
米3冠で5着のマスターフェンサー。
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph bySatoshi Hiramatsu
posted2019/06/11 11:15
日本で6戦2勝のマスターフェンサーが、米国の3冠レースで5着に入ったことは評価されるべきだろう。
短い直線では5着までが精一杯。
後方から追走したマスターフェンサーは3コーナーでペースが上がると早くも鞍上の手が激しく動く。
「あそこでスムーズについていけなかったのが痛かったですね……」と角田調教師。
直線で大外に出されると、ゴール前でやっとエンジンがかかったが時すでに遅し。短い直線の前に5着まで追い上げるのが精一杯だった。
「最後はまた手前を替えないままでした。それにしてはよく伸びてくれたけど、残念です」
ルパルー騎手は無念そうな表情でそう語った。
勝ち馬のサーウィンストンは道中、マスターフェンサーの目の前を走っていたが、同馬が器用に内をするすると抜け、直線入口でも上手に外へ持ち出されたのに対し、そのような器用さを欠くマスターフェンサーは大外に持ち出されるよりなかった。このあたりの細かいスキルの差も結果に大きく影響した。
「結果は残念だったけど……」
「結果は残念だったけど、良い経験をさせていただき、オーナーや角田調教師ら関係者の皆さまには感謝しかありません」
そう語ったのは高野容輔調教助手だ。ジョッキー上がりの彼が今回の遠征のために日本を発ったのは4月22日。マスターフェンサーに同行してカーゴでのアメリカ入りだった。
「本当に良い経験をさせていただきました」
同意してそう言うのは指揮官の角田調教師。今回の敗戦を糧に、彼等がまた輝ける日が来ることを願いたい。それがこの挑戦者を受け入れる国でのことであればなお、喜ばしいことだろう。
いつの日か、アメリカンドリームがかなった時、マスターフェンサーの名前がまたフィーチャーされることだろう。