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息抜きはサッカー、来季はメッシと?
伊東純也流「ベルギー“地味”生活」。
text by
熊崎敬Takashi Kumazaki
photograph byKai Sawabe
posted2019/06/03 08:00
子供たちと戯れる伊東純也。自然体で過ごせたことが、移籍1年目の好結果に繋がったのかもしれない。
始めた自炊も「おもしろくないんです」
「楽しみですか? 正直ないかも。(シント・トロイデンの)遠藤航には3回会いましたよ。航が作ってくれたメシはおいしかったです。ぼくですか? だれかに振る舞えるような料理は、とてもじゃないですが作れません」
人生初の海外暮らしはうまくいかないことばかりのようだ。自炊をしたことがないので、おなかが空いたら外食に出かけるが、ベルギーは食事の量が多すぎて見るだけでため息が出る。近所の食堂で出てきたチキンがおいしかったので、後日「あのスパイシーなヤツ」と頼んだら、激辛なチキンを出されて閉口したこともある。
食事は生活の根幹。これでは困ると思い、慣れない自炊を始めた。
「たまに作るようになりました。あまり空腹じゃないときは、サラダを作って、肉を焼きます。カレーを作ったこともありますよ」
自分で作るメシってうまいですよね?
「いや、全然です。でも自炊を始めて、主婦の気持ちがわかるようになりました。ただ主婦は家族が食べてくれて、おいしいなんていってもらえるでしょ? でもぼくは、作るのも食べるのも後片付けもひとり。全然おもしろくないんです」
海外生活の息抜きはサッカー。
言葉に加えて食事も苦戦中。じゃあ、息抜きできるのはどんなとき?
「息抜きですか? ないですねえ。午前練習が終わって家に帰ったら、ソファで無になります。ずっとソファに座っています」
「ヨーロッパで活躍するプロサッカー選手」と聞くときらびやかな世界に生きているイメージもあるが、伊東は地味な日々を過ごしているのだ。
すると伊東が不意に「あっ、ありました」と言い出した。なにがあったの?
「息抜きです。ぼくの息抜き、サッカーなんです。フィジカル練習はつらいですけど、試合形式の練習は大好きです。試合はもちろん大好き。試合になったら、言葉がわからないのも、ほとんど気にならないですしね」