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若乃花×武蔵丸、スペシャル対談。
先輩横綱として相撲界に思うこと。 

text by

佐藤祥子

佐藤祥子Shoko Sato

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photograph byTetsuo Kashiwada

posted2019/06/03 07:00

若乃花×武蔵丸、スペシャル対談。先輩横綱として相撲界に思うこと。<Number Web> photograph by Tetsuo Kashiwada

対談で穏やかな表情を見せる2人。武蔵丸(左)と若乃花の戦いぶりは相撲史を鮮やかに彩った。

稀勢の里のケガについて思うこと。

――若乃花以来、19年ぶりに誕生した日本出身横綱・稀勢の里が引退しましたね。

武蔵丸 やっぱりケガはしっかり治さないと。もったいないとか可哀想な気持ちもあるけどね。ケガした時点でしっかりと休めばよかったんだ。

若乃花 うん、親方と同じ意見。あそこで休まなかったのが致命的だったよね。

武蔵丸 俺は去年の11月場所で4連敗した時点で辞めるべきだったとも思っているんだ。でも背中を押す人がいなかったんだな。俺の場合は師匠(元横綱三重ノ海)に「辞める」と言った時、「うん」と一言、言ってくれた。自分で納得して引退できたのね。左手首の手術をして、最後の場所の成績は3勝4敗だったんだけど、今までに負けたことのない旭天鵬や玉乃島に負けて、もうダメだと思ったんだ。

若乃花 稀勢の里もまだ若くてこれからが長いし、まずはケガを治してね。彼が部屋を持って弟子を育てるなら、自分ができなかったことを託して教えてゆくのもいい。どんな弟子を育てるか楽しみですよね。

武蔵丸 元横綱の“親方1年生”だね。俺がいろいろ教えてあげるよ。

みんな、下半身を鍛えていない。

――若乃花さんの場合は'99年9月場所、皆勤して負け越した横綱となってしまいました。横綱審議委員会から「休場勧告」をされて2場所休むも、休場明けの場所で5日目までに3敗しての引退でした。

若乃花 あの9月場所では、横綱として負け越したら歴代の横綱に対して申し訳ないとの気持ちもあったんだけど、逃げたくなかった。休場するよりは、「最後まで逃げないで行こう」と潔く引退する覚悟をして臨んでいたんです。結局、7勝7敗で千秋楽に武蔵丸と当たって、寄り倒されて負け越した。で、天井を見上げて「もう辞めよう」と決めたんだけど、師匠(父 元大関貴ノ花)に辞めさせてもらえなかったんですよね。でも、この時、最後まで逃げなかった気持ちが、今の人生に活きていると思っています。

――先輩横綱として、今の横綱たちをどのように見ていますか?

武蔵丸 休場が多いし、相撲がつまらない。当たって引いての相撲が多いし“横綱相撲”じゃないんだ。若乃花が今の時代にいたら、20回以上は絶対に優勝してるな。1月場所の白鵬は13日目まで出て、残り2日を休場したでしょ。横綱なら無理してでも最後までやりきってほしかった。

若乃花 今は世代交代の時期でもあると思うけど、若手のほうが、もうちょっと元気よく、勢いつけて上がってほしいとも思う。

武蔵丸 覇気がないんだよね。手に汗握る大相撲って、ないもん。

若乃花 見てて思うのは、みんな下半身を鍛えていない。上半身ばかりなんだよね。

武蔵丸 立ち合いも一発の威力がないよ。

【次ページ】 大事にしたものはやっぱり稽古。

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