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恩師モウリーニョも脱帽の人格者。
EL決勝は男チェフの最後を見逃すな。
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byUniphoto Press
posted2019/05/29 11:45
モウリーニョなどからも賞賛されるGKペトル・チェフ。最後の試合は古巣チェルシーとの対戦となった。
ルディガーはもちろん、カンテまで。
さて、チェルシーの現状は好ましくない。
「現場の意見が反映される補強が実現すれば、1~2年でマンチェスター・シティとリバプールに追いついてみせる」と、マウリツィオ・サッリ監督が続投の意思を明らかにしているにもかかわらず、上層部はいっさい反応していない。
オーナーのロマン・アブラモビッチ氏は所在すらつかめず、マリアナ・グラノフスカヤCEOは、監督よりも選手の意見に耳を貸すタイプだ。上層部の支持を得られないサッリは、ヨーロッパリーグ決勝に集中できるだろうか。
さらに、半月板を手術したアントニオ・ルディガーはリハビリ開始が9月(予定)であり、カラム・ハドソン・オドイはプレミアリーグ35節のバーンリー戦で、ルーベン・ロフタス・チークはシーズン終了後のニューイングランド・レボリューション戦(親善試合)でアキレス腱を断裂。ともに全治4~6か月の重傷といわれている。
そしてエンゴロ・カンテが5月25日の練習中に膝を負傷。決勝の舞台には立てそうもない。
ルディガーとカンテの欠場は痛すぎるダメージだ。「私の心はすでに伝えてある」と移籍を示唆したエデン・アザールのコメントも含め、チェルシーの周囲は混とんとしている。
アーセナルもケガ人が多いが……。
一方、アーセナルは政治の犠牲者となったムヒタリアンのほかには、負傷のために長期欠場を強いられているエクトル・ベジェリン、ロブ・ホールディング、ダニー・ウェルベック、最終盤でハムストリングを痛めたアーロン・ラムジーが遠征メンバーから外れる公算が大きい。
彼ら4選手が、いや、ラムジーを除く3選手がもう少しだけ働いてくれれば、アーセナルはトップ4に入っていたのではないだろうか。今シーズンもケガに泣かされた。
しかし、アーセナルにはふたつの大きなモチベーションがある。ひとつは「ムヒタリアンのために」、もうひとつは「ペトル・チェフの最後を飾ろう」。