【NSBC補講II】 BリーグNo.1経営者のビジネス論BACK NUMBER
動員数も上昇、盛り上がるバスケ界。
今こそ、経営の“質”を見直すべき。
text by
島田慎二Shinji Shimada
photograph byB.LEAGUE
posted2019/05/22 07:00
千葉ジェッツは2年連続ファイナルでアルバルク東京に敗れたが、リーグ平均観客動員数では前年を上回る盛況ぶりだった。
顧客満足度を高める施策が課題。
今季のシーズン開幕前に私は数字を追求しすぎず、質を高めることにフォーカスして観客の満足度を高めたいと話していました。それは、昨季は観客動員数が増えて継続的に成長できたものの、少し経営の質が下がっていると感じたからです。
こうした意識をフロントスタッフとも共有し、目標に掲げ取り組んできましたが、質を上げるプロセスはまだまだ不十分だったと反省しています。
2018-19シーズンの平均観客動員数は、その1シーズン前を上回る5204名でした。あえて増加させることに特化せず、むしろ少し減らしてとしても、その分、満足いただけていないお客様を減らすために、サービスをしっかりと行う。そのため数字を追わずに……と考えていました。
しかし、シーズンが終盤に近づくにつれ、どんな席でも試合が見たいという声も多くいただき、最終的にチームとしてより多くの座席を販売するという判断に至りました。
ただ、これとは別に、顧客満足を追求することをテーマにしていた割に、組織的にお客様が満足するような状況を把握、対応しきれていなかったという気はしていますし、我々が取り組めることはもっとあったのではないかと反省しています。これは来季に向けて積極的に修正していきます。
スポーツは未来永劫、勝つことは不可能。
最終的な数字は確定していませんが、今季は売上も昨季から約3億弱増となる17億円を見込んでおりますが、千葉ジェッツにとっては、今、このタイミングが非常に重要なターニングポイントになるとみています。
レギュラーシーズンの結果が52勝8敗ということは、つまり、ご来場いただいたファンの皆様方には(試合で)勝った姿をお見せすることが多いということです。必然的に会場は盛り上がり、チケットやグッズの販売数、ファンクラブの入会数にもつながっていきます。
要は今の商売繁盛の様というのは、我々がビジネスで頑張り、投資をしたことでチームが強く魅力的になったからこそ、その魅力がお金に換金されていると言えます。さらにチームの魅力とホスピタリティやエンタテイメントの総合的な価値で売り上げが伸びています。
チームとフロントは魅力の共存のなかで成長しながら、売上に対して何らかのインパクトを与えていきますが、今が一番、多少粗が見えてもチームの魅力で凌駕されてしまう時期なのです。
成長という意味では、そのフェーズまで到達した部分に関しては評価できますが、スポーツチームの難しい側面としては、未来永劫、勝ち続けるわけではなく、良い時があれば悪い時もあるということです。チームが後者に陥った時に、場合によっては、そこで以前とは同じマインドでは臨めない場合もあるわけです。