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デムーロ「馬がひとりで伸びた」
無敗のオークス馬はまだ成長途上。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2019/05/20 11:30
このデムーロの表情である。ラヴズオンリーユーでのオークスは彼にとってもまた格別の勝利だったのだろう。
「やはり、海外に行ってみたいですね」
同じ矢作厩舎にいた全兄のリアルスティールは2016年にドバイターフでGI初制覇を遂げたが、クラシックでは皐月賞2着、ダービー4着、菊花賞2着と悔しい思いをした。その無念を妹が晴らした。
兄にも乗ったことのあるデムーロが「お兄さんに似ている。今も十分強い。このまま行ってほしい」と言えば、矢作師はこう話す。
「切れ味や、筋肉のやわらかさなどはこちらのほうがかなり上。入厩前はこれほどの馬になるとは思っていませんでした。成長力に感謝ですね」
4戦目でのオークス制覇は、オークスが春に施行されるようになった1953年以降、カワカミプリンセスに並ぶ最少タイ記録。
まだ成長途上で、初の長距離輸送を経た関東でのレース、初のGI参戦となったのに、パドックではどっしりと落ちついていた。
「牝馬では珍しいほど堂々としている。この血統では考えられないくらい落ちついています」と矢作師。こういうタイプの馬は、環境の変化に動じない。
「まだまだ成長するでしょうし、大きな夢を持っています。やはり、海外に行ってみたいですね」
国内では兄を超えたと言っていいだろう。海外でも偉大な兄を超えられるか。夢はひろがる。