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遅れてきたロッテの切り札。
高濱卓也“ひと振り”にかける1年。 

text by

永田遼太郎

永田遼太郎Ryotaro Nagata

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photograph byKyodo News

posted2019/05/16 11:30

遅れてきたロッテの切り札。高濱卓也“ひと振り”にかける1年。<Number Web> photograph by Kyodo News

FAの人的補償として千葉ロッテに加入した高濱卓也。横浜高校では1年時からレギュラー、2年春にはセンバツ優勝も経験した。

「代打枠」として割り切る。

「昨年、(戦力外を)覚悟したのもありますし、とにかくやれることをやって、そこで体が壊れてもいいという覚悟でやってやろうと決めました。今まではどうしても『チームに残りたい』、『野球をもっとやりたい』って考えでやっていたと思うんですけど、そんなことも言っていられない立場になりましたし、本当の意味で1年、1年が勝負だなって思えるようになったんです。

 ダメだったらそこで潔く野球を辞めようではないですけど、それくらいの覚悟を持ってやってやろうと思いました」

 昨年の契約更改時、チームから「代打の枠が空いている」と告げられ、自身の生きる道を見出した。

 だから今季は年明けの自主トレからいつにないくらいバットを振り込み、2月1日のキャンプインに備えると、気持ちの部分でも今までは感じたことがない、ある種の割り切りみたいなものが生まれてきたという。

「自分の中でも『レギュラーはほぼ決まっているし、それだったらバッティングを中心に今年は磨いていこうかな』という考えになりました。それだけ今年はなんとか一軍に残りたいという思いだったし、まずはそこからシーズンに入って、自分の結果が良ければ、誰かがどこかで抜けたときにそこを埋める存在にもなっていけるんじゃないかって思ったんです」

キャンプ初日から見せた豪快な1発。

 その想いは、結果としても表れた。

 キャンプ初日の紅白戦の第1打席で右翼席上段の防球ネットに突き刺さる目の覚めるような1発を放った高濱は、2月9日の台湾・Lamigo戦、2月27日の東北楽天戦でも本塁打を放って好調をアピール。「キャンプ初日から実戦に入れる体を作るように」と、チーム方針を打ち出していた井口資仁監督の想いにも、しっかりと応えてみせた。

「若いときはあれもやらなきゃ、これもやらなきゃという気持ちが強すぎて、自分の良いところを消してしまっていた気がしました。守備もやらなきゃいけない、走るのも考えなきゃいけない、そして最後にバッティングを考える感じにもなっていたので、そこを変えて行こうと思いました」

【次ページ】 三拍子揃ったドラ1遊撃手。

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