松岡修造のパラリンピック一直線!BACK NUMBER
ゴールボール・天摩由貴が気づいた
「チームの素晴らしさ」に修造、拍手!
text by
松岡修造Shuzo Matsuoka
photograph byYuki Suenaga
posted2019/05/19 09:00
修造さん、天摩さんと、日本ゴールボール協会の増田徹理事。
連係プレーで勝てるのが面白い。
松岡 今のをひと言でまとめると、センスです。才能ですよ。距離感覚とかコート内でのフィーリングってもっとも必要とされる資質じゃないですか。だから始めてすぐに代表にも選ばれて、リオにも出場できたんです。ロンドンの後、永遠にやってこないと思っていたパラリンピックの舞台に違う競技で行っちゃうってすごいことですよ。
天摩 確かにそうですね。リオにも出させていただきました。でも、行ったけれども私の出場時間は他の選手と比べると少なくて、それはやっぱり実力が劣っていたから。自分でもまだまだだなと思って、今後はもっとチームにとって欠かせない戦力になりたい。リオが終わってそう強く思いました。
松岡 今の捉え方は良いですね。個人だけじゃない、チームとして負けたくないという思いが伝わってきます。自分さえ上手くなれば良いではなくて、私がどうなればチームがより良くなるのか、ちゃんと考えている。
天摩 正直言うと、最初はチームスポーツって苦手だなって思ってました。たとえば自分がミスしてなくても負けることもあるし、逆に点を取れなくても勝つことがある。始めた当初は仲間がいることの良さに気づいていなかったんだと思います。
松岡 それが今はどう変化したんですか。
天摩 一緒にやっていくうちに仲間がいる安心感だったり、頼もしさ、楽しさがわかってきて、勝ったときの喜びは仲間がいた方が何倍も嬉しいことに気がつきました。高さやパワーで勝てない相手に、スピードや戦術、チームとしての連係プレーで勝つことができるのがこの競技の面白さなので。今はゴールボールがとても楽しいです。
今は2020年の東京に自分が立ちたい。
松岡 色んなことを乗り越えてきて、いよいよ2020年が近づいてきているわけですけど、いま由貴さんはどんな思いでそこに向かっているんですか。ゴールボール女子チームへの期待値は相当高いと思います。
天摩 そうですね、今はとにかくその舞台に立ちたいです。キャプテンといえども地位が確保されているわけではありませんし、今の時点ではまだ誰ひとりとして代表に選ばれているわけではない。だから今は2020年の東京に自分が立ちたい。その思いだけです。
松岡 なぜ由貴さんがキャプテンに指名されたのかを考えると、負けたくない思いが人一倍強いからだと思う。そんな由貴さんだからこそみんなを引っ張っていってほしい。そういう期待があると僕は思います。
天摩 負けず嫌いなんですけど、試合になるとすごく緊張したり、色んなことを不安に感じて、練習ではできることがなぜかできなくなることがあるんです。松岡さん、ひとつお聞きして良いですか?