マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
がんばれ、キャッチャー及川恵介。
佐々木朗希の夏は君にかかっている。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byAFLO
posted2019/05/14 07:00
佐々木朗希が剛速球を投げられるのは、それを受け止める捕手・及川恵介がいてこそなのだ。
夏までに、互いにできることは何だろう。
こんな状況の今だ、彼もグチったりすることがあるのだろうか?
そんな時、君はどんな話をしてあげるのか?
「佐々木朗希」とバッテリーを組む君が、今いちばん苦しんでいることは何か?
その答えを、彼は知っているのか?
「佐々木朗希」とバッテリーを組む君が、今いちばん悩んでいることは何か?
その答えを、彼は知っているのか?
「佐々木朗希」とバッテリーを組む君が、今いちばん喜びと感じていることは、どんなことなのか?
その答えを、彼は知っているのか?
夏までに、彼のために君ができることは何か?
夏までに、彼が君のためにできることは何か?
佐々木朗希のことは丸裸にした……そうつぶやく強豪たちを相手に、君が秘かに練っている秘策があるとすれば、どんなことか? これはナイショで教えてくれないか。
そして、佐々木朗希とバッテリーを組む夏が終わった時、君は彼にどんな言葉を用意しているのか?
高校野球がなくなった後の夏を、たとえば君たちはどんなふうに過ごすと思うか?
さらに、進路選択の秋。
佐々木朗希がプロ志望届けを出すその日に、実は自分も一緒に出して、もっとおまえのボールを受けさせてくれ! 世話をさせてくれ! ……そんなふうに、なったりはしないのか?
昔、同じように、高校野球でマスクをかぶった者として、自分なら、そんなふうになってしまいそうだから……だから、そんなことも訊いてみたい。
せめてひとりぐらい、彼にエールを。
がんばれ、朗希!
でかした、朗希!
マウンドに立つ者を励まし、讃える言葉は無数に飛び交う。
しかし、ホームベースを守り、マウンドの投手を支えるキャッチャーを力づけ、ねぎらう言葉を探しても、野球の現場にそれを見つけることは難しい。
だから、あえて、がんばれ! キャッチャー・及川恵介!
だから、せめて、私ひとりぐらいは。
ひるむな! キャッチャー・及川!
佐々木朗希とチームの「夏」は、君の奮闘に懸かっているのだから。