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宮崎敏郎に何が起こっているのか?
苦戦のDeNAで待たれる天才復活。 

text by

石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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photograph byKyodo News

posted2019/05/05 12:00

宮崎敏郎に何が起こっているのか?苦戦のDeNAで待たれる天才復活。<Number Web> photograph by Kyodo News

小学生の時から変わらない宮崎敏郎の打撃フォーム。広角に打て、長打もあり、守っては強肩という、高い身体能力を誇る。

「こういった状況は経験済み」

 宮崎本人にヒットが出ていないこと、そして自分の中の感覚について尋ねると次のように答えてくれた。

「2017年も20打席ぐらいヒットが出なかったことがあったので、こういった状況は経験済みです。感覚としてはまだズレはありますけど、ちょっとしたことだと思います」

 かすかな兆し。結果的に元号が『平成』から『令和』に変わるタイミングが、宮崎にとって分水嶺になったようだ。

 翌日5月1日の試合で宮崎は41打席ぶりの打点となるタイムリーを放ちチームの勝利に貢献。また8試合ぶりのマルチ安打を記録した。

 タイムリーを放った後、宮崎はベンチに向かい笑顔でガッツポーズをした。ベンチもまた宮崎の巧打に大いに盛り上がった。

 今や宮崎はチームの精神的支柱である。昨年は主力にケガ人が続出する中、自身の負傷を隠しながらゲームに出つづけ安打を放ちチームを鼓舞した。また今季打撃好調の大和や神里和毅らにバッティングのアドバイスを求められるなど周囲に影響を与える存在になっている。

 ホームゲームのときはどの選手より球場に早く来て真摯にマシンと向かい合っている背中をチームメイトの誰もが目撃している。

変化を恐れ保守的になることはない。

 久々の殊勲打を放った宮崎は、苦しい時期に大事にしてきたことを次のように述べた

「試行錯誤しながらやってきましたが、変えなかったことですかね」

 宮崎の言う「変わらない」は、変化を恐れ保守的になるということではない。すべてを自分で切り拓いてきたからこその“哲学”である。だから譲るわけにはいかない。

 この試合以降、宮崎は調子のバロメーターである逆方向への打球も増え、順調にヒットを重ねている。数字を見ればまだまだだが、今後も結果を出しつづけることで“ブレない男”の生きざまを見せつけてもらいたい。

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