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伊東純也のルーツをベルギーで直撃。
「プロの壁を感じたことはなかった」
posted2019/05/04 11:30
text by
菊池康平Kohei Kikuchi
photograph by
Kohei Kikuchi
伊東純也のベルギーでの評価が日に日に高まってきている。
アジアカップ終了後の2月にベルギーリーグ1部の強豪であるヘンクへの移籍を果たした。そして現在プレーオフ1で首位を走るヘンクの中で、伊東は4試合連続でスタメン出場を果たしている。4月14日には昨年の覇者クラブ・ブルージュ戦でアシストを記録し、勝利に貢献。また5月3日のアントワープ戦では今季3点目となるゴールを決めるなど、中心選手としての信頼を得ている。
3月上旬、伊東がベルギーの地に慣れようと奮闘している頃、彼のこれまでのキャリアを聞く機会を得た。初対面ということで少しの緊張感を持ちつつ、待ち合わせ場所のカフェで最後の予習に臨んでいると、伊東が現れた。
プロ入り後、試合に出続けた。
「ヴァンフォーレ甲府でプロになって1年目には30試合に出場したので、始めの数試合くらいは出てなかったと思います。2年目は33試合、3年目は34試合、4年目は34試合出場したので、4年間で5試合以外は全部に出場しています」
伊東はどちらかというと寡黙なタイプである。しかし自身のキャリアについて流暢に話し始めると、思わず“正解!”と言いたくなるほど驚いた。取材に臨むために記憶したデータが、彼の頭の中からはすぐに出てきたのだ。
伊東がそらんじたのは、甲府と柏に所属していた計4年間のリーグ戦の出場試合数だ。イエローカードやレッドカードでの出場停止を受けたことはない。またポジションやプレースタイル的にファウルされることが多い中で、長期離脱するような大ケガはこれまで負っていない。
ちなみに何かコンディショニングを気を付けているのか、と聞いてみたところ「寝るのは好きで毎日9時間くらいは寝るようにしています。食べ物はストレスがないように、普通に選んで食べています」と、特別なことはしていないという。これもまた驚かされたが、怪我をしないということも才能のひとつだし、J1、ベルギーリーグへと順調にキャリアを伸ばせた要因だろう。
この男には挫折という言葉がないのだろうか?
そんな思いが頭をもたげ、幼少からここまでのキャリアの歩みを聞きたくなった。