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伊東純也のルーツをベルギーで直撃。
「プロの壁を感じたことはなかった」
text by
菊池康平Kohei Kikuchi
photograph byKohei Kikuchi
posted2019/05/04 11:30
ベルギーで取材に応じた伊東純也。「IJ」のニックネームで愛されたレイソル時代のような突破をベルギーで見せてほしい。
「プロの壁、なかったですよ」
甲府とモンテディオ山形からオファーを受け、大学卒業後に甲府へ入団した。大学で活躍したとはいえ、プロの舞台である。これまでのように初年度から順風満帆にいくとは限らない。
正直に言えば、筆者は「プロの壁があったんですよ」という言葉をどこかで期待していた。しかし、その予想は覆された。
「プロの壁もなかったですよ。すぐに試合に出れて、割とできたので大丈夫でした。甲府ではどの監督にも使われていました」
プロ1年目となった甲府ではリーグ戦で30試合に出場し4得点。翌2016シーズンから柏レイソルへ移籍した。
開幕当初は足の速さや攻撃力を買われてサイドバックをやっていた。「柏に来てサイドバックは初めてやりました。景色が違いましたね。やはり守備での疲れもあるので前がいいです」と思っていた伊東に、さらなる大きなチャンスが訪れた。
「監督が3試合で変わって、下平(隆宏)さんになった。その時に、一度スタメンを外されたんです。でも途中出場で出て、次の試合でスタメンで出た時に点を決めて……そこから定着しました」
A代表デビューも特に緊張せず。
柏でもすぐさま主力となった伊東。注目度は徐々に大きくなっていく。その年はリオ五輪イヤーだということもあり、AFC U-23選手権で予備登録メンバーに選出されるなど、サプライズ招集候補とも見られていた。しかし五輪本番のメンバーには選ばれなかった。
それについて聞くと「挫折というより……」と話し、こう割り切っていたのだという。
「大卒でしたので、リオ五輪のメンバーは入るのが難しい状況でした。1年しかプロでプレーしていないので、仕方ないなと思ってました」
それでもその翌年もコンスタントな活躍を見せた伊東は、年末にE-1選手権を戦う日本代表メンバーに選ばれた。国内組のみの招集だったとはいえ、念願のA代表にたどり着いた。それもロシアW杯を半年後に控えるという絶好のタイミングだった。
「デビュー戦となった北朝鮮戦でも、特に緊張はせずに落ち着いてプレーできました。『試合を見たよ』などの連絡はたくさん来ました。周りの応援してくれている方々はけっこう喜んでましたね。A代表の注目度の高さを感じました」