プレミアリーグの時間BACK NUMBER
ユベントスへ旅立つ“ランボー”。
復活&EL制覇の劇的結末はあるか。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byUniphoto Press
posted2019/04/21 08:00
EL準々決勝第2戦ナポリ戦で負傷退場したラムジー。アーセナルは決勝まで駒を進め、「ランボー」のフィナーレを演出できるか。
来季からはC・ロナウドと競演。
レアル・マドリー、バイエルン、パリ・サンジェルマンといったメガクラブからの興味も伝えられた中、ラムジーが選択したユベントスは適地となり得る。マッシミリアーノ・アッレグリ率いるセリエA王者は、3センター採用の機会も多い。加えて、ラムジーの存在がもたらす相手ゴールへの脅威は、ユベントスの既存センターハーフ陣に不足している要素でもある。
来季、移籍先でアーセナル提示額の2倍の年俸を稼ぐと推定される当人は、収入以前にタイトル獲得の可能性アップを優先したと言われている。
また巷では、クリスティアーノ・ロナウドがライアン・ギグスがいたマンチェスター・ユナイテッドと、ガレス・ベイルがチームメイトだったレアルで欧州制覇を果たしていることから、やはりウェールズ人のラムジーが加入する来季、ユベントスがCL優勝を果たすとの冗談半分の予想がされている。
『ランボー』のフィナーレはいつ?
イタリアの観衆に向けた「予告編」となるはずだった4月18日のナポリとの第2戦は、34分の負傷退場という形で幕を下ろした。ハムストリングを痛める怪我は通常、短くても復帰までに2、3週間を要する。試合直後、「これがアーセナルでの最終戦になってしまいそうか?」と問われた指揮官も、「何とも言えない」と答えるしかなかった。
そう考えると、5月12日の最終節まで5試合を残すリーグ戦では、10点満点中7点は与えられる出来を見せたワトフォード戦が最後の勇姿となってしまいそうだ。
とはいえ、5月29日のEL決勝までの復帰には現実味がある。
チームは、ラムジーがピッチを去って間もない36分にラカゼットのFKで奪った1点をしぶとく守り、合計3-0で準決勝へ進んでいる。対戦相手はバレンシア。さらに決勝では、フランクフルトとの準決勝に駒を進めたチェルシーと優勝を争う可能性も残されている。
アーセナルの『ランボー完結編』は、できることならアゼルバイジャンの首都バクーを舞台とするロンドン・ダービーでフィナーレを迎えることを願いたい。
欧州でのプレミア対決を制し、クラブとしても個人としても初のEL優勝を以て、リーグ順位とは無関係にCL出場権獲得も実現されたピッチにラムジーが立っていれば、それこそ映画『ランボー』シリーズにも負けない、ドラマチックなエンディングだ。