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23歳リンスがキャリア初優勝。
MotoGPは4強時代へ突入か?
posted2019/04/18 07:00
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph by
Satoshi Endo
開幕戦カタールGPでアンドレア・ドビツィオーゾが勝ち、第2戦アルゼンチンGPでマルク・マルケスが優勝する。ここまでは予想通りの展開だったが、第3戦アメリカズGPは、スズキで3年目を迎えるアレックス・リンスが初優勝を達成した。
そのレースを見だしにすればこんな風になる。
「スズキ3年ぶりの優勝、23歳のリンスがキャリア初優勝」
「サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で負け知らずのマルケスが転倒リタイヤ。7連覇を目前に何が起きたのか?」
「2年ぶりの優勝を目前にバレンティーノ・ロッシがアレックス・リンスに抜かれる。その要因は?」
マルケス転倒、ロッシと一騎打ち。
リンスの初優勝は、レースファンにとっては驚きのニュースになったようだが、現場で見ているぼくの目には、もう彼の初優勝の日は近いと思っていた。その通りの結果になったのだが、勝因のひとつは、COTAで圧倒的な強さを見せるマルク・マルケスが独走状態に持ち込みながら転倒リタイヤに終わったこと。
もうひとつは、マルケスの転倒で首位に立ったロッシとの一騎打ちとなるのだが、このサーキットを得意とするリンスが、終盤の接戦に強いロッシの追撃を振り切ったところにある。
あのままマルケスが最後まで走り切っていれば、また2位か、といわれる可能性は高かった。去年は5回立った表彰台のうち3回が2位。そのうちの2回はマルケスが優勝して初優勝の夢はかなわなかった。そのマルケスが転倒したことを知ったときにリンスは、すでに、前を走るロッシとの差を着実に縮めていたし、今日は勝てるかも知れないと思ったはずだ。