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2カ月後のW杯を前に現れた新星たち。
なでしこは「伸びしろだらけです」。
text by
日々野真理Mari Hibino
photograph byMutsu Kawamori/AFLO
posted2019/04/14 09:00
6月にフランスで開幕するW杯に向け、小林、南ら新戦力への期待も大きい。
サッカーを諦めかけた時期も。
実は小林の兄は、ヴィッセル神戸やモンテディオ山形でプレーし、現在は大分トリニータに所属する小林成豪。兄妹ともにキレ味鋭い攻撃、ゴールに向かう積極性が魅力だ。
彼女は2014年のU-17W杯の優勝メンバーで、その世代の中心選手としてプレー。しかし翌年に前十字靭帯断裂という大怪我をし、以降、度重なる大けがに泣かされ続けた。
周りの期待も大きかったが、自身も目標にしていた2016年U-20W杯への出場は叶わなかった。
「U-20W杯はちょうど退院して、リハビリもまだできず動けない時で、いったい自分は何しているんだろうと思ってしまって。試合はテレビで見ましたが、みんなのSNSはまったく見られなかったですね。でも、こうして今なでしこジャパンでプレーできていることを考えると、やはり途中でサッカーを諦めなくてよかったなって思います」
そう、悔しさという言葉では表しきれない当時の感情をしみじみ振り返った。
3度手術を受け、リハビリでは原因不明の痛みに悩まされた。「もうこのまま治らないかもしれない」と苦しみ、サッカーを諦めようと思ったこともあるという。
「それでも頑張れたのは、トレーナーさんや一緒にリハビリをしたり話を聞いてくれていたベレーザのチームメイトの村松智子選手、三浦成美選手、土光真代選手、そして一番心配してくれていた親の存在があったから。なでしこジャパンで活躍して、支えてくれた人に恩返ししたいと思います」
およそ3年近く続いた苦しみを乗り越えて掴んだ代表の舞台。W杯、そして来年の東京五輪と、世界の舞台で輝くことが支えてくれた人たちへの恩返しにもなるはずだ。
強豪国のスピードを見た経験。
もう1人の新星は、次世代のDFリーダーとして期待される南萌華だ。
昨年のU-20W杯ではキャプテンを務めチームを優勝に導くと、昨年11月にはなでしこジャパンに初招集。3月のアメリカ遠征に続き、今回の欧州遠征にも選出され、センターバックとして2試合ともに出場した。
今遠征を通して感じた課題は多かったが、一方で得られた自信も大きいという。
「失点の場面はクロスの対応のところ。やはりあそこを守れないとヨーロッパのチームには勝てないし、まだまだ課題です。自分のところでミスをすると崩れてしまうので、ビルドアップを安定させることや、ボランチの選手が自信を持ってプレッシャーにいけるように、自分がチーム全体からしっかり信頼されるようなプレーを続けていきたい。
強豪チーム相手に1対1で対応できたところもかなりあったので、そこはすごく自信になりました。何よりスピードのある相手と対戦できたのはいい経験になりました。課題はありますが、やれた部分に自信を持ってやっていきたい。W杯に行けたら、更に成長した姿を見てもらえるようにがんばりたいと思います」