マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
サイン盗み経験者だからわかること。
利は少なく損は多い、やめなさい。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKyodo News
posted2019/03/30 07:30
サイン盗みは甲子園でもたびたび問題になったが、抜本的な対策はなされてこなかった。今回はどうか。
グラブの中のボールを見つめる。
「西郷さん、バッターボックスで構えている時、ピッチャーのどこを見ているんですか?」
すると、西郷さんは当たり前のように、こんな答え方をされた。
「ボールを見てます」
とは言っても、西郷さん、今はセットから投げたり、ノーワインドアップもありで、ボールがグラブの中に隠れてること多いじゃないですか……。
「グラブの中のボールを見てます」
“そこ”をジッと見つめていれば、タイミングの始動が遅れることがない。だから、しっかりトップが作れて、まっすぐでも変化球でも、ちゃんとタイミングとれますよ、と。
今までサイン盗みに助けてもらっていて、今度のことで、この先一段と「取り締まり」がきびしくなりそうで、こりゃ困ったなぁ、どうしよう……。
そんな心配している球児がもしいたとしたら、バッティング名人・西郷泰之さんからの、この「教え」をお伝えしたいと思う。