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新しい地図・香取慎吾×上地結衣。
「ゾーンが来なくても今が一番強い」
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byTakuya Sugiyama
posted2019/03/28 07:00
香取さんのテニスの腕前は「未経験とは思えないです!」と上地選手を唸らせるほど。
今の状態は「一番強い」と思う?
香取 まだ手にしてない金メダルを狙う東京に向け、車いすをチューンアップしたりもするんですか?
上地 車いすは2年前に、7年間乗ってきたものを大きく変えたんです。タイヤを1インチ大きくして、座面も高くしました。フレームの素材もマグネシウムを入れて軽くしてみたけれど、動きに違和感が残って元のアルミ製に戻したりと試行錯誤しました。でも、考えるとキリがないので嫌になって(笑)、それよりプレーのことに時間を費やしたいと思い、今の車いすに固定しました。東京はこの車いすでいきます。
香取 上地選手の今の状態は、自分自身で分析して「一番強い」と思いますか。
上地 うーん、考える視点によって違います。例えば、今より10年前の方ががむしゃらにプレーできていました。いわゆる「ゾーン」に入ることも多く、マッチポイントということも知らずに気が付いたら勝っていたこともあります。今は試合中も冷静なぶん、そういうことはなくなりました。たまに「ゾーン、こないかな」と思うときもありますが(笑)、長い目で見れば今のほうが強いかな、と。
香取 僕も2020年は会場まで観に行くので、冷静かつ、時にゾーンに入る上地さんを応援するのを楽しみにしています。
上地結衣Yui Kamiji / Wheelchair Tennis
1994年4月24日、兵庫県生まれ。車いすテニス選手。先天性二分脊椎症で両脚に麻痺がある。11歳より競技を始め、'12年ロンドンでパラリンピック初出場。'16年リオで銅メダル獲得。4大大会では複数回優勝。143cm。