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新しい地図・香取慎吾×上地結衣。
「ゾーンが来なくても今が一番強い」
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byTakuya Sugiyama
posted2019/03/28 07:00
香取さんのテニスの腕前は「未経験とは思えないです!」と上地選手を唸らせるほど。
知っているのに知らない状態。
香取 誰かに教わった技なんですか?
上地 いえ、最初は自分でも無意識だったんです。周りの人に「試合中なんか喋ってる」と言われて「え、そうなんや」って(笑)。でもセルフトークをした方が調子が良いなと分かってからは意識的に取り入れるようにしました。香取さんは長年お仕事されている中で、平常心を保つ方法はなにかあるんですか。
香取 うーん……。先のことについて、意識的に「考えない」ようにできる、というのはあるかもしれない。「知っているのに知らない」状態でいられる、というか。
上地 どういうことですか?
香取 頭の中には明日、明後日、その先のスケジュールまで入っているんだけど、ひとつひとつについて深く考えずにいられるんです。というのも、僕はもともと頭の中の作業が大好きで、休日でも気が付けば仕事のことを考えてしまう。だから全ての仕事にその姿勢で臨んでしまうと、パンクすると思っていて。だからこそ、先のことは考えすぎない、あたかも「知らない」かのような状態でいますね。この習慣がなかったら僕はこの仕事を続けてこれていないと思います。
上地 面白い! 私も取り入れたいです。
想定外に「勝つ」ほうが楽しい。
香取 仕事も試合も、現場にいかないと分からないことがたくさんあるじゃないですか。今日も上地さんのことを調べまくってから対談することもできます。でも、スポーツで例えると僕は想定内で「勝つ」より、想定外に「勝つ」ほうが楽しい。あまり知識を入れずに、上地さんとお話ししたほうがいいかなって。心に余裕をもって、自分のふり幅を大きくしていたいと思っています。
上地 私も想定外の動きをする相手と戦い、ポイントをとられると悔しいんですけど「じゃあ次どうしたらいいんやろ」と燃えてくる。その瞬間はすごく楽しいですね。