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フランクフルトが驚異の13戦無敗!
チームの大黒柱は“皇帝”長谷部誠。
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byGetty Images
posted2019/03/23 17:00
プレー面以外でも抜群の存在感を発揮。長谷部なしでは、現在のフランクフルト躍進は語れない。
選択肢が増えた選手補強。
フランクフルトはウィンターブレイク中の移籍市場でも効果的な補強に成功しました。
まずは、守備の安定のためアウクスブルクのオーストリア代表DFマルティン・ヒンターエッガーをレンタルで獲得。彼はストッパーとリベロをマルチにこなせる選手で、これによってキャプテンのダビド・アブラアムがベンチに、長谷部もリベロ以外にボランチでもプレーできる選択肢が増えました。
複数の怪我人に悩まされていたボランチでは、ドルトムントのゼバスティアン・ローデをレンタル移籍で獲得。彼は広大な中盤スペースを十全にカバーできる汗かきタイプで、強力な攻撃陣を下支えできる欠かせない戦力となりました。
ヒンターエッガーとローデの2人が加入したことで、フランクフルトのチームベースは確実にアップしました。ここで今一度、現在のフランクフルトの主力メンバーを列挙してみましょう。
代表GK、左の槍とメンバーは多士済々。
GKは直近のドイツ代表にも選出されたケビン・トラップ。鋭いセービングはもちろん、機敏な判断から正確無比なフィードを蹴るなど、多岐にわたる特長を有しています。またトラップとリベロ長谷部との連係は試合を重ねる毎に磨かれていて、長谷部からの「前に出て!」「後ろで構えて!」といった指示に「はい!」とばかりに瞬時に反応し、適切なポジションを取って相手の侵入を防いでいます。
個人的には、ボルシアMGのスイス代表GKヤン・ゾマーと並び、抜きん出た実力の持ち主だと感じています。
バックラインは右にヒンターエッガー、左は19歳のフランス人エバン・エンディッカ。このエンディッカが長谷部に従順で、「兄さん、任せて!」とばかりに相手に食らいつき、肉弾戦でも一切引かずに防波堤役を務めてくれます。
ボランチはローデと、負傷がちとはいえジェルソン・フェルナンデスが重厚なプレーで攻守を連結させます。フェルナンデスはアブラアムに代わってキャプテンも務めますが、彼が欠場した際は長谷部がキャプテンマークを巻くことになっています。
サイドアタッカーは、ハードワークの権化とも言えるダニー・ダコスタとフィリップ・コスティッチ。ダコスタは迫力ある突進から鋭いクロスを上げるフィジカルモンスターで、左の“槍”コスティッチは無尽蔵のスタミナを誇ります。
コスティッチはカウンターアクションに入ると必ず全速力で左サイドを疾駆してボールを受け、相手との1対1勝負から左足クロスを上げようと仕掛けます。正確に数えていませんが、最近はおそらく1試合で平均10本近くはクロスを上げているはず。凄まじいスプリントの連続はフランクフルトサポーターの琴線に触れ、今やチーム内でも屈指の人気を誇っています。