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SP3位羽生結弦「しっかりやりきる」
宇野昌磨は6位から巻き返しを誓う。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2019/03/22 11:15
昨年の11月以来の実戦復帰となった羽生結弦。フリーでの逆転を狙う。
羽生は3位も、演技構成点はトップ。
羽生は3位でショートを終えた。
冒頭の4回転サルコウが2回転になり、規定により得点なしになったのが響いた。本来、得意とするジャンプだ。失敗の理由はどこにあったか。
その一因となったのは、6分間練習にある。
羽生は、「外的要因」と表し、こう説明した。
「跳ぶスペースをうまく見つけられなかったということもあります」
6分間練習は、同じグループで滑る選手が同時に練習をするものだ。
羽生やチェンのいるグループは6人だったが、6分間練習の中で選手は氷の感覚をたしかめたり、ジャンプを跳ぶなどして本番に備える。ジャンプを跳ぶ場合、リンクのどこでもいいわけではない。プログラムで想定している場所で跳ぶ。
羽生も6分間練習で4回転サルコウを跳ぼうと試みた。だが、他の選手との兼ね合いであきらめざるを得なかったケースが数回あった。
やむをえず、本来とは異なる軌道で跳び、失敗する。もう一度試みて成功させたが、失敗したことが不安へとつながったのである。
ただ、ジャンプ1つが得点なしに終わった中でも演技構成点で全選手中トップ、各要素のGOEでも加点があり、94.87点を得たのは羽生の地力を物語っていた。
宇野「いさぎよく逃げました」
一方、宇野は91.40、6位にとどまった。
冒頭の4回転フリップが回転不足になった上に転倒したことが大きく響いた。
「本来のコースからそれました」
宇野は「防げたミス」と悔やむ。その後のジャンプでは、4回転トウループ-トリプルトウループの連続ジャンプを予定していたが、2つ目を2回転におさえた。
「いさぎよく逃げました」
宇野はこの場面をこう表現した。
「4回転フリップを失敗した時点で、置いていかれないために選択しました」
もう一度失敗すれば、巻き返しきれない点差がつく。結果を求めて臨んだ試合だから選んだ変更だった。