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坂本花織が完璧な演技でSP2位!
「前の自分に勝てました。満足」
posted2019/03/21 11:45
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
曲が終わるやいなや、微笑み、両手を軽く突き上げた。その瞬間観客席に座る人々が立ち上がり、拍手をおくって称えた。
3月20日、世界フィギュアスケート選手権女子ショートプログラム。坂本花織は完璧な演技を披露し、日本勢最上位の2位につけた。
冒頭、「鍵を握る」と課題に掲げていたトリプルフリップ-トリプルトウループのコンビネーションジャンプを成功させ、波に乗る。残る2つのジャンプも決め、ステップ、スピンも最高評価のレベル4を獲得。すべての要素が加点される非の打ちどころのない演技で、自己ベストを大きく更新する76.86点を得た。
「前の自分に勝てました。すごく満足しています」
雪辱を期した大会だった。昨年末の全日本選手権で優勝を遂げて臨んだ、2月の四大陸選手権。ショートでは2位になったが、フリーでミスが出て4位、連覇を逃した。勝ちたいという欲がマイナスに働いた。
帰国すると、猛練習に励んだ。
「(昨年出場した、平昌)オリンピック前より練習しました」
それまでも坂本は、1日に3度リンクで練習してきた。そのうち朝の練習を1時間から2時間半に伸ばした。
「自分の持ち味の幅と高さのあるジャンプができていたので、しっかり、落ち着いてできました」
練習が成果につながったと語る。
実はSPで苦しんできた紀平。
パーフェクトだった坂本に対し、紀平梨花と宮原知子は、ジャンプでつまずくことになった。
今シーズン出場した国際大会すべてで優勝している紀平だが、冒頭のトリプルアクセルが成功したのは一度きりと、実はショートでは苦しんできた。今回もシングルアクセルになり、規定により0点。その後は着実にまとめたが、よいときに比べればどこか精彩を欠いた。結果、70.90点で7位にとどまった。