オリンピックへの道BACK NUMBER
宇野昌磨が進む新たなステージ。
「結果を求めたい」と話す理由。
posted2019/03/21 08:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Asami Enomoto
2016年の初出場以来、4年連続4度目の舞台となる世界選手権。
今回、宇野昌磨は、今までと異なる心持ちで挑もうとしている。
3月19日、記者会見に臨んだ宇野は、羽生結弦への質問が続いたのを受けて「はい。気を遣って質問してくれてありがとうございます」と笑顔を見せたあと、言った。
「この試合、僕は初めて結果を求めて挑みたいなと思っています」
これまでにない、新たな姿勢だった。
従来の宇野は、練習を積んだ成果を試合でしっかり出すことを目標としていた。だから成績がよくても喜ばないときもあったし、成績がよくなくても「課題としていたことができたからよかった」と語ることもあった。それは平昌五輪でも変わりなかった。メダルという意識よりも“自分の演技を”という意気込みがあった。
「オリンピックが特別な舞台だとは思いませんでした」
大会終了後の言葉も、そんな姿勢から発したものかもしれない。
五輪後に感じ始めた「責任感」。
今シーズン開幕前にはこう語っていた。
「オリンピックで銀メダルを獲ったことで、皆さんから前より注目されるようになったと思います。だからと言って、今までのシーズンと変わることはないと思います」
一方で、変化の萌芽も開幕前からうかがわせた。
春から夏の時期、宇野は数々のアイスショーに出演した。時にはショーを代表する立ち位置になることもあった。
それもあってか、自分の演技がショーの成功にもかかわると、重圧を感じることもあった。ショーについて触れたとき、こんな言葉を口にしていた。
「アイスショーをやっていて、これまでより責任感を感じるようになりました」