オリンピックへの道BACK NUMBER
坂本花織が完璧な演技でSP2位!
「前の自分に勝てました。満足」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2019/03/21 11:45
完璧な演技で自己ベストを大きく更新した坂本花織。四大陸選手権の失敗が彼女を成長させた。
練習が試合での演技を保証するわけではない。
「緊張はあまりなかったです」
初めての大舞台に対し紀平はそう話したが、一方でこうも語った。
「自分に集中しすぎて、まわりに目がいかなかったというか、もっとまわりを見渡さないといけなかったと思いますし、強気になりすぎたと思います」
リンクとの感覚のずれも失敗の理由にあげていた。緊張はなかったと言うものの、気持ちの持っていき方という点においてやはり初の大舞台であることは影響があったのかもしれない。
宮原知子は、70.60点の8位で終えた。
冒頭のトリプルルッツ-トリプルトウループのコンビネーションジャンプで、1つめの軸がぶれ、2つめが回転不足になったことが響いた。
「悔しいです。スピードがなかったのがいちばんの理由かなと思います」
練習自体はきちんとできていたと言う。もともと練習量と取り組む姿勢に定評のある宮原だ。世界選手権へ向けてしっかり取り組んできただろう。それでも、「(試合では)練習ほど大きくできなくなってしまいます」。
練習の成果をいかにして発揮するか。どれだけ練習しても、それだけでは試合での演技は保証されない。
そこに、リンクにただひとり立ち、自身と向き合うことになる試合特有の難しさがある。その難しさは、宮原に限らない。
ザギトワ「精神を鍛えられました」
ショートでトップに立ったのは、アリーナ・ザギトワ。冒頭のトリプルルッツ-トリプルループを成功させると、それ以降も圧巻の演技を見せた。得点も80点をただ1人超える82.08点と、大きくリードを奪った。
精度の高いジャンプを武器に平昌五輪で金メダルを獲得したザギトワだが、今シーズンは中盤からジャンプに苦しんでいた。グランプリファイナル、欧州選手権のどちらも2位にとどまり、ロシア選手権でも5位に終わった。その停滞から脱却する演技に、感極まった表情を見せた。
不調を取沙汰される機会が少なくなかったこともあってか、このように語りながら、笑顔を見せた。
「精神を鍛えられました。たくさん失敗はありましたが、乗り越えました」