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酒井高徳、無言は「異例中の異例」。
自ら背負った昇格の責任との戦い。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byAFLO
posted2019/03/18 12:15
酒井高徳はサイドバックながら中盤的な役割をこなすなど、重要な役回りだ。名門ハンブルガーの復権に欠かせない。
「1回で簡単に抜け出せるわけじゃない」
第26節終了時点でハンブルガーSVは2位に位置している。1試合消化が少ない1位ケルンとの勝ち点差は1ポイント。そして入れ替え戦に回る3位との勝ち点差はわずかに3。拮抗した戦いが繰り広げられている。
代表ウィークが明ければ、リーグ戦は残り7試合だ。同じ2部パーダーボルンとのドイツ杯準々決勝も控えるが、2部での上位争いは、1部での残留争いとは違う試練を酒井に与えることになるだろう。
「今、1位から2位に落ちて、まずは追いつくことが大事なんだけど、抜かれてしまったという現実があってこの順位にいる。ブンデスリーガ2部もそう簡単じゃないということを、自分たち自身が再確認しなくちゃいけない。
チームメートとは『難しいときは、1回で簡単に抜け出せるわけじゃない。階段を上るように一歩ずつ、一段一段上がっていった先に、何かをつかみ取れる』と、いつも話している。今日も厳しい試合になったけど、最後の最後まで戦いぬき、ゴールへ向かう姿勢を見せ続けたからこそ、最後にゴールが決められた」
これは終了間際に決勝ゴールが決まったグロイター・フュルト戦後の酒井の言葉である。今の彼自身が大事にしている姿勢でもあるはずだ。簡単じゃない。だからこそ、挑戦する意味がある。意地を見せなくてはならない。進化を経た真価が問われている。