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MotoGP開幕戦カタール、徹底検証。
ホンダ、そして日本人ライダーが躍進!
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph bySatoshi Endo
posted2019/03/12 17:45
最終ラップまで続いた激戦を制して、日本人初となるMoto3優勝を成し遂げた鳥羽海渡(写真中央)。2000年生まれで、まだ18歳!
中上貴晶が好調な今季スタート!
そして、日本人にとっては、これからのレースを大いに期待させるものだった。それは中上貴晶が、ベストグリッドの9番手から9位でフィニッシュしたこと。
これまで課題だった序盤のペースの遅さを解消して序盤はトップグループに加わる快走だった。その要因を彼は、「ウインターテストから常にトップ10につけていたし、それが大きな自信になったからだ」とコメント。
次戦以降の戦いが、ますます楽しみになってきた。
鳥羽海渡がMotoGP初の日本人ウィナーに!
さらに今大会は、Moto3クラスに出場の18歳の鳥羽海渡が、3年目のシーズンにして初優勝を達成した。
2012年からスタートしたMoto3クラスで日本人選手が優勝するのは初めて。125cc時代を含めて、このクラスで優勝するのは、2007年のカタルーニャGPでの小山知良以来、12年ぶりという快挙だった。
鳥羽は、グランプリを運営統括するドルナスポーツとホンダが'14年にスタートさせたアジアタレントカップの初代チャンピオンで、ホンダの育成ライダーのひとり。過去2年は、思うような結果を残せなかったが、昨年「ホンダ・チーム・アジア」の監督に就任した元世界チャンピオンの青山博一氏が、フィジカルとメンタルを強化し、彼の才能を引き出した。
今年は5人の日本人選手がMoto3クラスにフル参戦している。
鳥羽と同期でライバルの佐々木歩夢、真崎一輝、小椋藍は、年齢も同じ18歳。そして21歳で日本人最年長の鈴木竜生の闘志に火がついたことは間違いない。
1990年代、125ccクラスは日本人が表彰台を独占するレースも多く、日本人同士が切磋琢磨することで、坂田和人、青木治親がそれぞれ2回チャンピオンを獲得している。そうした時代の再来を予感させる鳥羽の優勝だった。