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MotoGP開幕戦カタール、徹底検証。
ホンダ、そして日本人ライダーが躍進!
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph bySatoshi Endo
posted2019/03/12 17:45
最終ラップまで続いた激戦を制して、日本人初となるMoto3優勝を成し遂げた鳥羽海渡(写真中央)。2000年生まれで、まだ18歳!
今季の勢力争いはまだ分からない。
こうして、今年もこの2人がライバルをリードする形となったが、プレビューの記事でも書いた通り、これがシーズンを占うことには、まだまだ、ならないと思う。
次戦アルゼンチンGPの開催されるテルマス・デ・リオ・オンドも波乱の多いサーキットで、マルケスとドビツィオーゾは、どういうわけか運のないグランプリとなっている。そして第3戦アメリカズGPは、マルケスがこれまで負けなしの6連勝中のサーキット。例年、ここから本領発揮となるマルケスだけに、今年のチャンピオン争いの行方は、序盤の3戦を見守る必要がありそうだ。
ホンダ、ドゥカティ、スズキは順調。ヤマハは……。
そのドビツィオーゾとマルケスのバトルを後方から見ることになったライバル陣営は、どうだったのだろう。
3位になったカル・クラッチローは、昨年負傷した右足首が完全ではなかったが、ホンダRC213Vのポテンシャルアップを十分に感じさせる走りでカタールGP初表彰台獲得。
優勝争いに加わり、今大会4位のアレックス・リンスも、スズキのポテンシャルアップを感じさせたし、初優勝が近いことを感じさせた。
開幕戦を終えて4強のパフォーマンスを評価すれば、ホンダ、ドゥカティ、スズキの3メーカーは、エースライダーの活躍は勿論、チーム全体のパフォーマンスも下馬評通りの内容だった。
対して、復活なるかと注目されたヤマハは、予選ではマーベリック・ビニャーレスがPPを獲得するも決勝ではタイヤのグリップに苦しんで7位。バレンティーノ・ロッシは、ビニャーレスに先行して5位でチェッカーを受けるも、チームメイトよりも優位だった理由は、スローペースの戦いになったことがまずひとつ。もうひとつは、難しい展開の中で、7回のタイトルを獲得した王者の経験を生かした走りができたからだと言える。
予選ではビニャーレスとは対照的に14番手と低迷しているだけに、依然としてヤマハの2人が、復活に向けての完全な出口を見いだしているとは言えない結果だった。
昨年との対比でいえば――ドゥカティがさらに前進、ホンダとスズキが予想以上にポテンシャルをあげた。そしてヤマハはやや前進も足踏みという状態。
カタールGPは一年の中でもスペシャルなグランプリ。今回の結果は、あくまでも参考程度であり、次戦以降を注視していきたい。