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ジダンはなぜマドリーに戻ったか。
会長との不仲を超えた計算と激情。
text by
吉田治良Jiro Yoshida
photograph byUniphoto Press
posted2019/03/12 11:30
ペレス会長の元に戻ったジダン監督。第2次政権は混迷極まるマドリーの立て直しから始まる。
見たいのはバランスより激情。
ただ、混迷を極める現在のマドリーを立て直すのは容易ではない。クラブ上層部もサポーターも悠長には再建を待ってはくれないだろう。となれば、ときに強権を発動してスター選手のエゴを抑え込むことも、あるいは風船を握る手を放して不平分子を駆逐する英断も必要だ。
求められるのはバランス感覚よりも、剛腕──。
「過去のことは考えていない。クリスティアーノ(・ロナウド)のことも。考えているのは(リーグ戦の)残り11試合のことであり、来シーズンのことだけだ」
ペレス会長ではなく、みずからが望む選手たちで、みずからが理想とするスタイルを遠慮なく築き上げればいい。マドリー2次政権で見たいのは、ジダンの「意地」であり、現役時代に時折覗かせた「激情」なのだ。