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女子バスケWリーグ史上初の11連覇。
JX-ENEOSを突き動かした向上心。
text by
吉川哲彦Akihiko Yoshikawa
photograph byAFLO
posted2019/03/09 09:00
11連覇の原動力となった渡嘉敷。今季平均18.4得点、10.2リバウンドでレギュラーシーズンMVPにも輝いた。
渡嘉敷を中心とした速攻で突き放す。
第3クォーターの10分間で前半の20分間と同じ27失点を喫し、第4クォーターでも早々に4点差まで追い詰められる。
しかし、JX-ENEOSはそこから王者の意地をみせる。
エース渡嘉敷来夢が速攻の先頭を走り、岡本も前半同様のアタックで三菱電機のディフェンスを切り裂き続けた。
底力を発揮したJX-ENEOSは82-76で勝利。シャンソン化粧品の記録を塗り替える11連覇を成し遂げた。
楽な道のりではなかった11連覇。
'08-'09シーズンから始まった11連覇の間、ファイナルの勝敗だけを見ても27勝4敗(東日本大震災の影響で中止された'10-'11シーズンを除く)と、数字の上ではJX-ENEOSは他を圧倒している。レギュラーシーズン全勝も2度あった。
だが、その道のりは決して楽なものではなく、今回の三菱電機との2戦目はそれを象徴するかのような難しい試合だった。
渡嘉敷と宮澤が40分間フル出場し、岡本もベンチに下がったのは前半の48秒のみ。そしてキャプテンの吉田亜沙美も、第3クォーター開始1分7秒で送り出されてから結局最後までコートに立ち続けた。三菱電機の粘りに、後半は主力を休ませることができなかったのだ。
今シーズンはJX-ENEOSにとってチャレンジのシーズンだった。センターの大﨑佑圭が出産のため選手登録を外れ、さらに吉田に代わって藤岡麻菜美をポイントガードのスターターに抜擢。昨シーズンまでの不動のスターターを2人入れ替えたことは大きな変化と言っていい。
「だからこそ勝ちたかった」と語るのは、11連覇を全て知る唯一の選手であり、今季スターターを外れた吉田だ。