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女子バスケWリーグ史上初の11連覇。
JX-ENEOSを突き動かした向上心。
text by
吉川哲彦Akihiko Yoshikawa
photograph byAFLO
posted2019/03/09 09:00
11連覇の原動力となった渡嘉敷。今季平均18.4得点、10.2リバウンドでレギュラーシーズンMVPにも輝いた。
「W杯断念」をプラスに変えた渡嘉敷。
個人としてのチャレンジのシーズンだったのは渡嘉敷も同じだ。昨シーズン終了後、過去3シーズンプレーしたWNBAシアトル・ストームと契約せず、日本代表の一員として昨年9月のW杯に備えていた。
しかし、足首のコンディション不良でW杯出場は断念。結局日本はベスト8決定戦で中国に敗れてしまい、結果的に渡嘉敷の穴を埋められなかった。そのことは渡嘉敷自身も悔いが残るはずだが、いち早くメンタルを切り替えてWリーグのシーズンに臨むことができたようだ。
「気持ち的にはだいぶすっきりしていました。自分と向き合う良い機会だったのかなと思います。
今まで、日本代表に参加して、アメリカに行って、日本のシーズンをやってというサイクルで休みなくやっていたので、ここで休憩ではないですけど、コンディションを整える時間ができて、リーグ戦が始まるのは楽しみでした。
代表でプレーできなかった悔しさはあるんですけど、体をリセットできた分、今季はプレータイムも30分オーバーが当たり前みたいな良い体になったかなと思います」
海外で戦うためのレベルアップ。
そして渡嘉敷は、新たなチャレンジとして取り組んできた3ポイントも含め、今後の自身のキャリアもしっかりと見据えている。
「今シーズンは3ポイントが新たな挑戦だったんですけど、それについては良いシーズンだったなと思います。もっと積極的に打つことや、数が少ない中でも決めるべきシュートをしっかり決めるというのは今後の課題。
あとはディフェンスで自分より小さい選手につく時、逆に大きい選手につく時にどういうディフェンスをするのかということをこれから考えていきたい。
海外の選手は本当に強烈な選手が多くて、今シーズンは試合前にそういう選手たちの映像を見てモチベーションを上げていたんです。主にユーロリーグだったんですけど、もう27歳ですけど、やっぱりいつかはそういう舞台に立ちたいと思っています」
11連覇を達成しながらも、彼女たちの向上心は尽きることがない。選手個々の高いモチベーションが失われないJX-ENEOSは、まさに“絶対女王”の称号にふさわしいチームだと言えるだろう。