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高橋大輔が光源氏に。2019年夏、
あの『氷艶』が帰ってくる!
posted2019/02/26 17:30
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Asami Enomoto
あの世界が再び、やってくる。
2月25日、東京都内で記者会見が開かれ、『氷艶 hyoen2019 -月光かりの如く-』の上演が発表された。
本作は世界最古の長編小説とされる『源氏物語』を題材に、フィギュアスケーターや役者たちが氷上に会し、物語を演じる舞台。会見場では、今回演出を務める宮本亜門、主演として光源氏を演じる高橋大輔、荒川静香のフィギュアスケーター2名と、俳優の福士誠治、元宝塚の柚希礼音が登壇した。
それぞれが公演への意気込みを語ったが、彼らだけでなく、つめかけた取材陣からも立ち昇る高揚感が会見場に満ちていた。本公演は2017年の公演『氷艶 hyoen2017破沙羅』に続く第2弾となるが、一昨年のインパクトがそれだけ強かったからだ。
『氷艶 破沙羅』は市川染五郎(現・松本幸四郎)演出のもと、「フィギュアスケートと歌舞伎のコラボレーションを図る」という点で注目を集め、上演された。それはいい意味で想像を裏切る作品であった。
高橋が光源氏に成りきり、舞う。
神話の時代の日本に源義経が舞い降りて時空を超えたストーリーが展開される劇中では、東京・代々木第一体育館に設置された広い氷上を、染五郎ら歌舞伎界の人々がスケート靴を履き、重い衣装をまとって滑った。
義経を演じる高橋らスケーターたちも負けていない。滑りながら、それぞれに役柄を演じきる。ともすれば中途半端になりかねない異種の分野が見事に融合し、作品として成立させたのである。
それを示す印象的な場面はいくつもあった。例えば義経が「阿国」に扮し、悪役を演じる役者たちの宴に忍び込むシーン。高橋は演者として義経に成りきって舞を演じ、かたや歌舞伎役者の人々は、歌舞伎ならではの舞を見せつけた。