野球クロスロードBACK NUMBER
松坂世代初、12球団最年少監督。
楽天・平石洋介の対話力が熱い。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byGenki Taguchi
posted2019/02/27 07:00
久米島キャンプで笑顔をみせる平石洋介新監督。昨秋、監督代行から昇格した。
賛否両論あっても熱くいく。
選手の感情を揺さぶり、行動へと突き動かす。その原動力となっているのが、平石監督の熱量だ。これは、久保や藤田のみならず、選手全員の共通認識である。
二軍の指導者時代からそうだった。監督だとしても率先して打撃投手を務め、1球ごとに「ナイスバッティング! それだよ、それ!」と選手の背中を押す。
そうかと思えば、身なりが少しでも乱れている選手がいれば、「明日までに直してこい!」と厳しく戒める姿も頻繁に目にしたものである。
――熱いですよね。
平石に率直にぶつけたことがあった。すると不敵な笑みを浮かべながら首肯し、自らの想いをこのように結んでいた。
「賛否両論はあると思うんです。熱さを出したらチームが勝てるんか? みたいにね。僕自身、試合では冷静に頭の中を整理しながら、『先を読んだ戦いも必要だ』とか実践しているつもりです。でも、自分の熱い部分っていうのはこれからも出していくつもりです」
選手たちも「熱い」と熟知。
今年のキャンプでは、コーチや二軍監督時代のような目に見える熱さはなかった。そこにあったのは、眼光鋭く、威厳を放ちながらもチームを見守る監督の姿である。
選手たちは、すでに熟知しているのだ。平石監督は熱い――と。
楽天に復帰して2シーズン目を迎える、松坂世代の渡辺直人が選手の思いを代弁する。
「選手たちは、監督の熱さ、指導者としての姿勢が分かっていますから。今度は自分らが熱く、前向きな姿勢を大事にしてみせる番。監督から言われて(その姿勢を)みせるのは簡単ですけど、言われる前にやるのが難しい。でも、それをやっていかないとチームは強くならないんで」
渡辺直は「同世代として監督を男にしたい。そこが一番強いですね」と強く言った。