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<'98年レジェンドの逆襲>ディディエ・デシャン「カリスマとバランス感覚と」 

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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photograph byEtsuo Hara

posted2018/07/31 16:30

<'98年レジェンドの逆襲>ディディエ・デシャン「カリスマとバランス感覚と」<Number Web> photograph by Etsuo Hara
 1998年の初優勝以降、幾度も無様に崩壊する姿を見せてきたレ・ブルー。チームを甦らせたのは、20年前の栄光を主将として牽引したカリスマだった。

 ディディエ・デシャンという監督を語るうえで欠かせない要素がふたつある。ひとつはデシャンがプラグマティスト(実践主義者)であること。もうひとつはデシャン自身の持つ強いカリスマ性とリーダーシップである。

 前者については、彼の理念と哲学がそれをよく表している。

「試合の前にまず考えるのは、どうすれば相手にとって最も危険になり、彼らを困難な状況に陥れられるかということで、そこから自分のチームのバランスを取っていく」とデシャンは言う。

「GKと4人のDFは決まっている。後は攻撃をどうするかだが、ブラジルW杯やEURO2016と比べても、質・量ともにずっと充実した攻撃陣を揃えることができた。人数の都合で外さざるを得なかった選手もたくさんいる」

 驚かされたのは、2年前のEUROから23人中14人を入れ替えたことだ。ブラジルW杯経験者は6人しかいない。結果、フランス代表の平均年齢は25歳6カ月まで下がり、全32チーム中2番目の若さになった。

 選手起用も大胆だった。両SBを大会直前までスタメンだったジブリル・シディベとベンジャミン・メンディから、ともに22歳のベンジャミン・パバールとルーカス・ヘルナンデスの若手コンビに切り替えた。

 元来デシャンは、EURO2016準々決勝で出場停止のアディル・ラミに代わり初代表のサミュエル・ウムティティを先発させたり、昨年からは19歳のキリアン・ムバッペを攻撃の軸に据えるなど、思いきりのいい選手起用をする。だがデシャンによれば、それは賭けでも何でもないという。

「すべてを事前に予測し、熟考を重ねた末の決断だ。キリアンの場合も、どのポジションでどんなプレーをするかすべて理解したうえで、彼とよく話し合った。能力も知性も卓越しているとはいえ、彼はまだ19歳だ。彼に私の要求を押しつけるのではなく、お互いに納得したうえでプレーして欲しかった。だから対話は不可欠で、それは選手個人に限らずコンビの場合や(攻守の)セクションについても同様だ。ビデオを使うときもある。そして最後に全員の前でもう一度確認をする」

この記事は雑誌『Number』の掲載記事です。
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