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<140kmの快速球の秘密>
上原浩治はなぜ三振が取れるのか。 

photograph byYukihito Taguchi

posted2017/07/21 08:00

<140kmの快速球の秘密>上原浩治はなぜ三振が取れるのか。<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi
160kmの剛球はない。七色の変化球も持たない。それでも上原がMLBで三振を奪えるのは何故か? 自身も精密な制球でMLBのクローザーを勝ち取った高津臣吾氏が、その「秘術」を解き明かす。

 上原浩治がびっくりするような豪速球を投げることはない。ストレートのスピードは140kmに届くかどうか。

 球種はこのストレートとスプリットのたった2種類。それなのに、メジャーの強打者たちを鮮やかに三振に仕留めていく。

 数字からも、上原の力をうかがい知ることが出来る。レッドソックス時代の2013年には74回3分の1を投げ、奪三振は101個を記録。9回あたりの三振数(K/9)に計算し直すと、このシーズンは12.23を記録した。上原はメジャー2年目の'10年から、K/9ではずっと2桁を維持しており、昨季は12.06にまで再び数字を向上させている。上原の“奪三振力”に衰えは見られない。


 では、なぜ軟投派の上原が、メジャーの強打者相手に三振を奪えるのか。自らも100kmにも届かないシンカーを武器に、シカゴ・ホワイトソックスのクローザーを務めた高津臣吾ヤクルト二軍監督に分析を依頼した。

「上原の絶対的な武器はコントロール。これは“芸術”の域に達しているでしょう。ダグアウトで横から球筋を見ていると、惚れ惚れしますよ。真っ直ぐ、スプリットともに打者の膝から上にはいかない。絶対にいかない。これって、すごいことですよ」

 今では170km近い速球を投げる投手すら登場したメジャーリーグ。誰もが“速く投げること”に夢を抱いてきたが、高津からみれば、上原はコントロールの面で進化の方向性を示しているという。

「160kmのボールを投げられたとしても、プロではコントロールがないと一流にはなれない。そのかわり、『100%のコントロール』を身につけられたら、大きな成功が収められる上に、プロとして長生きも出来る。上原ほど、出し入れの自由が利く変化球を持っていたとしたら、野球が楽しくて仕方がないと思いますよ」

この記事は雑誌『Number』の掲載記事です。
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