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鹿島の伊藤翔は何かやってくれそう。
「ゴールがビタミン剤、養分になる」
 

text by

塚越始

塚越始Hajime Tsukakoshi

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photograph byTakamoto Tokuhara

posted2019/02/21 11:45

鹿島の伊藤翔は何かやってくれそう。「ゴールがビタミン剤、養分になる」<Number Web> photograph by Takamoto Tokuhara

10代の頃に“和製アンリ”と呼ばれた伊藤翔も30歳。ACL連覇を狙う鹿島の本戦出場権獲得にさっそく貢献した。

戦いながら鹿島カラーに染まる。

 一方、やはりまだまだパスの呼吸が合わない場面は何度も見受けられた。久々の実戦とあって運動量も後半途中からガクっと落ちた。

「試合数をこなすことでトップフォームに近づいていけます。それは僕のみならず全員に言えること。ただ、そのなかでも結果を残す、『勝つ』ところに着地する。これがアントラーズの強さだと思いました」

 ピッチ上で戦いながら、鹿島のカラーに次第に染まっていく。この73分間でその融合はかなり進んだ。

 横浜F・マリノス時代の昨季は、ルヴァンカップ得点王(8ゴール)など自身キャリア最多となる公式戦17得点を決めた。ゴールへの筋道を立てる。あるいはゴールからの逆算をする。30歳を迎えたストライカーは考察を巡らせながら、結果を残していった。

マリノスで逃し続けたタイトル。

 一方、2014年から在籍5年目になるチームに対し、責任を持つ発言を繰り返した。勝ち星から見放されていた時期、「結局、踏ん張り切れない。それが弱いところ」と、自分自身とチームに対して、はっきりと口にしたこともあった。

 2017年度の天皇杯、昨季のルヴァンカップと2度、決勝で敗れて目の前で優勝を逃した。これまでのキャリアで主要タイトルの獲得はなし。「とにかくタイトルがほしい」と、勝利への渇望は増した。

 そして今オフ、タイトルを獲得できる可能性がより高く、そしてストライカーとしての本能をいかんなく発揮できる環境を求めた。それらを備えた鹿島からのオファーを、伊藤は快諾したのだった。

「FWなので、とにかく決めること。とにかく勝つこと。そこに特化していきたい。とはいえ鹿島は自分が加入する前から強いチームだったので、その流れを自分の中で吸収しつつ、プラスアルファでさらにゴールやアシストにつながる攻撃の形を構築していければと思います。まだ1試合目なので、みんなが僕に鹿島のイメージを持ってくれるように、さらに結果を残すしかないです」

 伊藤はそのように鹿島でのこれからに思いを馳せた。

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