野球のぼせもんBACK NUMBER
年上の内川、松田にも笑顔とヤジ。
新米コーチ本多雄一の奪Sh!改革。
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKotaro Tajiri
posted2019/02/15 07:00
キャンプで年上の松田、工藤監督と話し込む本多雄一内野守備走塁コーチ。
年上にも「捕れるよ、今のー!」
最も場内が盛り上がるのが内川聖一、松田宣浩、川島慶三のベテラントリオが守る時だ。3人とも本多コーチより年上なのだ。
だけど遠慮はない。檄を飛ばしながら、捕れるか捕れないかぎりぎりのところにかなり強烈なゴロを打ち込む。
「捕れるよ、今のー!」
「すいませーん!!」
年齢は関係ない。
だけど、新米コーチだからミスショットもしてしまう。その時はコーチが選手から激しくイジられる。が、きちんと敬意は込められている。
「コーチですからね。前みたく『ポン』なんて呼べないでしょ」と話すのは松田だ。
「いい意味で前に出過ぎず」
本多コーチもその気持ちを汲む。
「ありがたいです。なかなか口で言うほど簡単ではないと思うので。でも、ちょうどいい年齢構成じゃないですか。ウチ(内川)さんが2つ上、松田さんと(川島)慶三さんが1つ上。高校なら一緒にプレーしている年代ですから。
コーチになって初めての春季キャンプなので、いい意味で前に出過ぎず、観察していくことも大切かなと思いながら入っていきました。コーチだけど、去年まで選手だったのは事実。性格やプレースタイルも知っているので、どのようにサポートをしていくのがいいのか、その引き出しを増やすためのキャンプだとも思っています」
ノックの精度は「まだまだ」というが、オフのあいだに相当な“自主トレ”を行なってきたそうだ。
難しいキャッチャーフライもしっかりと上げる。チームメイトから集中砲火で浴びせられる声、スタンドからの視線、失敗したら球場をため息が包むと思うとプレッシャーは相当なものだ。「鳥越(裕介)コーチ(現マリーンズ・ヘッドコーチ)の気持ちが分かる」と苦笑いする。