野球クロスロードBACK NUMBER
浅村栄斗はフルスイング+頭脳野球。
山崎武司に似たスラッガーの匂い。
posted2019/02/14 17:30
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph by
Genki Taguchi
野球人生で初めて着る、赤を基調としたユニフォーム。今季からプレーする楽天の白とクリムゾンレッドに身を包んだ浅村栄斗の表情は、少し照れているように映った。
「変な感じはかなりありましたよ。でも、実感は湧きますよね。改めて『楽天のために必死にやりたい』と思いました」
昨年オフ。FAの目玉選手のひとりとして注目を浴びたが、久米島でのキャンプでは自然体の浅村がいた。
全体練習後には過去のキャンプで恒例となっていたロングティー打撃を約1時間、黙々とこなす。全球フルスイング。無論、フリー打撃でも同じだ。
「この時期だからこそ多くバットが振れるんで。自分は振っていかないとダメなタイプというか、スイングを確かめるように軽く振ったところで何の形にも仕上がらないんです」
プロ10年のキャリアで2度の打点王。昨季は西武の主将として3割1分、32本塁打、127打点と無類の勝負強さを誇示し、リーグ優勝に大きく貢献した浅村の取り組みは、早くも若手選手たちのお手本となっている。
新人王の田中も浅村を注視。
昨年の新人王・田中和基は、浅村の打撃に日々、注視しているひとりだ。
「初日に浅村さんとロングティーをやらせていただいたんですけど、足元の土を見ると両足と踏み込んだ時の左足の跡がずっと同じ場所できれいに揃っていて。でも、僕の足元はぐちゃぐちゃになっていたんです。あれだけフルスイングをしているのにすごいなって。次の日から意識が変わりましたね」
両打の田中は浅村から影響を受け、右打席のノーステップ打法は左足を挙げるフォームへと変わった。感触はいいと言う。