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出遅れて、早めに先頭に立って完勝。
東京新聞杯でマイル戦線に新星登場。
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph bySatoshi Hiramatsu
posted2019/02/08 07:00
上がり馬から一気にマイル戦線の最右翼に躍り出たインディチャンプ。春・秋のGIでは人気を背負いそうだ。
スタートの瞬間「今日はダメかな?!」。
こうして迎えたのが今回の東京新聞杯だった。
「元々重賞で好走していた馬ですけど、前走の勝ちっぷりが良かったので、今回も期待を持っていますよ」
音無師はレース前、そう語っていた。
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しかし、「ゲートが開いた瞬間、『今日はダメかな?!』と思った」と語る事になる。各馬一斉にスタートを切る中、インディチャンプだけが出遅れ、後方からのスタートになってしまったのだ。
「スタートのタイミングが悪かったけど、すぐにリカバリー出来ました」
出遅れたインディチャンプだが、手綱をとった福永祐一騎手がレース後にそう語ったように、スタート後は無理に追われる事無く内からスルスルと進出。すぐに好位につける事が出来た。発馬直後のアクシデントにも鞍上は全く慌てず騒がず、さすがダービージョッキーと思わせる騎乗ぶりで、コーナーもコースロスなく好位のインで追走したのだ。
速い流れを力で押し切って完勝。
逃げたショウナンアンセムが作った流れは前半の1000mが57秒2という速いモノ。差し、追い込み勢で、能力のある馬により有利になる流れだった。
そんな流れを、ラスト300m近く残した地点で先頭に立ち、堂々と抜け出したのがインディチャンプだった。速い流れにもかかわらず早目に先頭に立ったため、最後は差し馬勢に差を詰められたが、それでも2着のレッドオルガに半馬身の差をつけて、真っ先にゴールへ飛び込む。いわゆる着差以上に強い競馬ぶりでの優勝劇だった。
勝ち時計も速かった。1分31秒9。
「前が引っ張ってくれた分、速い時計になりました」と音無師は言うが、それにしても好時計である事は間違いない。速い流れで速い時計になったからこそ、力がある馬でないと勝てない競馬だったと言えるだろう。
「このメンバーだからあんなに早く先頭に立つとは思っていませんでした。1頭になって遊んでしまった分、差を詰められました」
福永騎手はそう言い、決してバテたり一杯になったために迫られたわけではない事を暗に示した。